『おときときつねと栗の花』
2017/07/31(Mon)
 松谷みよ子著『おときときつねと栗の花』を読みました。
 直前の大島廣志著『民話』を読むなかで、いままで読んだり、聞いたりしたことのある柳田國男・小泉一雄・平川祐弘・牧野陽子・藤原万巳など学者の中に『現代民話考・学校』の著者として取り上げられていた作家、松谷みよ子の『おときときつねと栗の花』です。
 大島廣志著『民話』の中で考察されていた「語り口」の文体が、とても心地よく、自然に民話のなかにしたりながらあっという間に読み終えました。毎日の猛暑に疲れ果て集中力もなく、読書も勉強もできない時の読み物としては渡りに船といったありがたい読書です。
  ≪よくきつねに化かされたっていうでしょ。あたしもじつは化かされたことがあるんですよ。いえ、ちょっとちがうのかもしれないけど、なんていったらいいんでしょう。あれは神かくしていうのかしら、あのときのことは、いまだにわかんないんです。でもね、そんな話、人(しと)にいたってわらわれるだけでしょ。だれも信じちゃくれませんよ。ですからいままでだまってたのよ。しょうがないから話してみますけど、わらいっこなしですよ。 
  あたしは東京神田の練塀町ってとこで生まれたんです。…≫と話のヒーローのおときが話すのです。本人から、初めて話すという話を聞くのですから、これはもう二人の世界です。
 「おときときつねと栗の花」とそのほかテーマのちがう八つのお話があるのですが、どのお話も、おときという子守りが語ってくれます。
 子守りは。子どもを背中にくくりつけられて、その赤ん坊の上の子のお守りもしたり、さらに台所しごと、百姓仕事をも手伝ったり、お使いもしたりと、ずいぶん忙しい思いをするときもあります。
 他の仕事がなく、子守りだけのときは、子どもが家の中でむずかるとうるさがられるので、近くの山や鎮守の森など子どもを背負って歩きまわります。異郷の地でのそんなときの出来事や、村人との出会い、おなじ子守りのお友達との語り合いなどから、すこしづつ地域になじんでいきます。そんな中での摩訶不思議な出来事がそれぞれつづられてます。
 あるひ、幼い子守りのみいちゃんが、赤ん坊を負ぶって、三歳の女の子を連れ、遠く自分の生れた村がほんの少し見える川っぷちの崖の上に行っていて、三歳の子どもが催したため、お尻を拭いてやる柔らかい葉っぱを探している間に女の子がいなくなり、神隠しに遭ったのか、川に落ちたのか村人が探し回るという事故がありました。数日後伊勢湾に打ち上げられて見つかり、家に返されたみいちゃんが、見つかった数日後に自殺をします。あとの、この飛騨川に、身投げをする人がかかるという瀬に一番よくかかるのが、子守りではなく若いお嫁さんだという説明にもショックをうけました。
 こんな時代のこんな民話が妙にしっくりくるおすすめのお話でした。

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コメント
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2017/07/31 17:57  | | #[ 編集]
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 暑中お見舞いありがとうございます。
 とんでもない暑さで、私のほうからもお見舞い申し上げます。
お孫さんがプロに入られたのを読ませていただきました。
 おめでとうございます。
 しっかり応援いたします。
 子守りのことは、古い話ではないと思います。
 私のうちにも末っ子の私に子守りのお姉さんが来ておられたようですが、私をおぶっていてころんで、私の顔中が血だらけになったので、恐縮して帰ってしまわれたということを聞いています。
 この時の傷で、若いころには気にならなかったのですが、眉毛がうまくかけないのです。それで、昔のけがの話を思い出して、私だけではなく、子守りのお姉さんもけがをされたのではないかと思うようになった矢先のお話でした。母はそのことを思ってか、私が化粧をする年齢になったとき、眉毛が途切れていると、途切れているところの年齢になって大きな難事に遭うから、きちんとつなげて書くように言い聞かせました。朝、眉を書く一瞬こんなことを思い出します。
 またあるとき、みかんを食べているとき、母が、子守りに来ていた子が、自分のうちではみかんは皮をむかないで食べるのにここではむいて食べるのでびっくりしたといったとぼそっと言ったことを思い出します。この本を読んで、それでも、子守りの姉さんより母のほうが大変だたのだと思わされました。
2017/07/31 18:49  | URL | 深山あかね #-[ 編集]
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