『真昼なのに昏い部屋』
2013/03/24(Sun)
 江國香織著 『真昼なのに昏い部屋』 を読みました。
 この本もみどりさんからの贈物です。
 朝食の片付けのあと読み始めて、間に昼食や庭の掃除を入れながら、スラスラ読んで健やかな一日をすごしました。
 でも記録を書くのは次の日通勤の行き帰り、車の運転をしながら考えましたが、いつも以上に難しく思いました。
 でも今日になって、放っておいたら忘れてしまうのでとにかく記録することにしました。

 主人公の美弥子は、会社経営者の親の家業を受け継いで社長の夫とは、子どもはいないものの安定した家庭の主婦です。
 特別美人ではないものの小柄で可愛い性格で、働き者で、いつもきっちり家庭を整えていきます。夫ひろくんにとっては過ぎた妻です。その妻と近所に住むアメリカに妻と子どもを残して来日している大学講師のジョーンズとの優しくさわやかな不倫物語です。

 昨今身の回りでも職場でも離婚は日常的ですが、離婚原因が不倫によるものは珍しい気がします。
 まじめで働き者とはいえ、苦労知らずで育ち、何不自由のない結婚生活をしている世間知らずの主婦の過ちからおこる離婚。家の中ではきちんと暮らせるのに、外の世界を知ってしまった。そのときの対応が・・・・。
 ふと私の若く32歳のころのことを思い出しました。
 広島大学の教育学部に社会主事講習を受けに行っていた夏のことでした。
 主任の若い先生に、「あなたは、まるで知らないことは罪だと思っているように勉強するね。」といわれました。そうです。わたしはそのころなぜか知らないことは罪だと思って勉強している思いがありました。言い当てられて驚いたことがあります。
 美弥子さんの夫ひろくんへの罪は深いものがあります。
 現代結婚は契約でもあることを知らなければなりません。
 そういえばそのときの主任の先生であった助教授、数年ののち女子学生への猥褻行為がニュースで流れました。 真意のほどはわかりませんが複雑な思いでニュースを見たことを今思い出しました。
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『歌舞伎のかくし味』
2013/03/22(Fri)
 山川静夫著 『歌舞伎のかくし味』 を読みました。
 この本はみどりさんから頂いたときから少しずつ読んでいきました。
 歌舞伎・能・狂言などまったくといっていいほど鑑賞したことがない私なので、「おなじみの方々向け」のこの本のかくし味にいたることはできません。
 わからないなりにも、何度も鑑賞されて御贔屓もあるような方々の気分を知っていき、多少歌舞伎に触れていければと思っていました。
 しかし、これは、これはと読んでいけば、本当に日本文化が煮つまってしまいそうで、息抜きに他の本を読みました。
 そんなおりテレビで、『鰯売り恋の曳網』について放送していました。過去演じたそれぞれの役者の演技を古いフイルムも用いて比較して解説しており、つい見入ってしまいました。山川静夫がこの『鰯売り恋の曳網』について述べているのは脇役を演じる南京豆のあだなのある荒次郎という人のことです。荒次郎が演じた藪熊次郎太がこの物語でのどんな役かあらすじを読んでもわからないのですが、こういう脇役で非常に生きていたので印象に残っているという話しでした。(三島由紀夫の原作を読めばわかるのだろうと思いますが)そして、彼がやはり「なじみの方々」にも舞台に出るなり「南京豆!」「ピーナツ!」と声がかかり愛されている様子が述べられていました。
 読み終えて、とんと艶消しになってしまいますが、「庭訓」と「六歌仙」について記録します。
 「庭訓」とは、家庭教育というほどの意味合いのようです。著者は茶の間での歌舞伎の話題などで子どもに自然に正義や人の情けや意地や誇りといったことを学んでいってほしいとの願いのようです。こんな庭訓を受ける環境になかった私にとっては、いい意味で練れた人生に欠けていたとの観があります。50歳前後で人形劇にかかわった8年間が終わるころからやっと芸能に目覚めたといえましょうか。
 「六歌仙」では、貫之が、和歌が人間に対してどんな働きをするかを述べた序文をひいています。「やまと歌は、人の心を種として、よろずの言の葉とぞなれりける。(中略)力をも入れずして、天地を動かし、目に見えに鬼神をもあはれとも思はせ、男女のなかをもやわらげ、猛きものゝふの心をも、慰むるは歌なり」この「歌」を「歌舞伎」と置き換えても十分に通用する名文と言っているからこそ、役者の演技の微細にこころふるう思いをこのように文にし本にまとめたのではないかと思えました。
 このような図書にも親しんでおられるみどりさんの舞踊の奥行きの深さが感じられる読書体験でもありました。
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『老いのかたち』
2013/03/20(Wed)
 黒井千次著 『老いのかたち』を読みました。

 2005年、著者が72歳のときから、5年以上、読売新聞に月1回連載したエッセーをまとめて出版したものだそうです。
 週刊誌や、新聞などで、読んだエッセーなどがこうしてまとめて本になっているのを見つけると、これは面白かったからと、ほくそえみながら読み始め、たまに読み進むにつれて、なぜかがっかりすることがあります。
 まさしくこの本はこの類の書ではないかと思われ、一つ一つの記事はそれなりに、平成時代の老人の日常の事態や心情が語られていて面白いのですが、延々これを続けられると閉口してしまうといったような感じです。
 月に1回の連作であったので、多くの人に親しまれたのかもしれません。

 なので、一回一回のエッセーはそれぞれに飲み込むことにして、今日の読後記録は、「中高年のかたち」と称して、私が月一回参加しているイキイキサロンのことを記録することにしました。
 今日のイキイキサロンは、①派遣された区役所の長寿健康課の職員による「転ばないための体操」、②町内にある高齢者施設の職員による「中高年の人へのデイサービス体験イベントへの案内」、③「○○団地マップ作り」でした。
 ③「○○団地マップ作り」では、私たちの団地の地図を大きく拡大して、空家、男性の一人暮らしのお家、女性の一人暮らしのお家に今日の参加者の情報によって、それぞれ印を入れていく作業をしました。
団地はさらに区に分けられています。あとで自分の区の様子を調べてみました。私の区は46軒ありますが、その内空家は6軒、男性の一人暮らし6軒、女性の一人暮らし5軒でした。一人暮らしのお家が25%強というのには改めて驚きました。この数字からこれから10年後、20年後の団地の様子がうかがえます。

 そういえば、昼食後、夫とずいぶん前に建設省を定年退職されて、昨年まで駆除班に入っていたとおっしゃる方のお話を聞きました。私たちの町の鹿の頭数は500頭くらい生存しているのがよいとされているのだそうです。それが今では大幅に増えて1500頭をはるかに超えてどうにもならない状況にあるということでした。駆除班の人数も20人くらいとされているのにぜんぜん足りないとのことで、この団地も近い将来、人間より、鹿、熊、イノシシなどの数が上回るのではないかととんでもない想像をしたことでした。
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『靖国への帰還』
2013/03/06(Wed)
内田康夫著 『靖国への帰還』 を読みました。
やはり、みどりさんから頂いたものです。
このところ、出かけることが多くて、久しぶりに本を読んだ気がいたしました。
 
 主人公は武者滋。
 彼は横浜工業専門学校の学生でしたが、18年9月10日茨城県の土浦航空隊に入隊し航空隊の基礎教育や技能習得の成績が上位であったため、19年5月に厚木航空隊に配属になります。
 もはや、外地より本土防衛が、重要な任務になっていたからでした。
 19年5月26日、滋は「月光」に乗りB29の大編隊と東京上空で交戦、B29、1機を撃墜したと打電したあと消息を絶ちます。
 平成19年6月16日早朝、厚木基地に正体不明の飛行機が不時着します。それに気を失った滋が乗っていて、基地内の病院に収容されていて気がつきます。
 22歳の若さのままタイムスリップしているのでした。
 最初は軍も秘密にしていたのですが、世間に知れるところとなり、テレビに出演することになります。
 彼は、戦死したら、航空隊であるため遺骨はないが、靖国神社に飛んで帰還するのだと信じて、部下たちともそんな話をしていたのでした。ところが、戦後、靖国は国際問題化し、自分が思っていたような状況ではありませんでした。国のために身も心も捧げ、靖国へ軍神として奉られることを信じながら、散っていった同胞たちの心情を思い、現在の人々の靖国への思いを正そうとテレビで論戦を張ります。しかし、その論戦で自分の甘さを思い、解体して保存をされることになった「月光」を運ぶために自らが操縦することを申し出て許され、それに乗って、飛び立ってまたもや空のかなたへ消えていくという結末です。

 ファンタジー小説的な部分、恋のロマン小説的な部分も面白く読めるのですが、なんといっても、靖国問題の論議が十分に深められている作品だと思いました。

 この論議は、たまたま、3月3日の日曜日、原発事故の被災地から来られた福島市の主婦の方から、いまの福島の現状を聞いたときに、現場から遠く離れて福島の事を思っている私たちと、現地での苦悩との大きな隔たりを知ったのと同じような感じがしました。
 沖縄の問題にしても現地の住民の方々の思惑と、私たちが想像していることとは大きな違いがあり、苦しみの質が違うのではないかと感じさせられたことでした。

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