『5000匹のホタル』
2017/06/09(Fri)
 松下竜一著 『5000匹のホタル』 を読みました。
 小学校高学年・中学校全学年に向け、人生の初めにめぐりあう本として、理論社より、1978年7月第9刷で、初版は1973年です。
 この物語の主人公は、大分県下毛郡耶馬溪町出身の梶木玉子という女性です。高校を卒業して、3年間商事会社に勤め、仕事の傍ら勉強して保母資格を取り、22歳の4月に大分市にあるろう児施設《あかつき学園》に保母として就職します。
著者は、大分市にある《あけぼの園》で取材をしてこの作品を作ったとあります。
 《あかつき学園》は、大分県下でただ1校しかないろう学校に通うろう児たちが生活する寮です。幼児は同じ敷地の保育園に通います。児童居室は6寮に分かれていて、1寮が4室にわかれおり、1室に幼児から高校2年生まで混じって5・6人の子らが家族のように共同生活をし、高校3年生になると、独立して高等部の部屋に移るのだそうです。1寮で宿直は2名ずつですが、宿直の時は、ふたクラスの朝食や保育園や学校へ行く準備に付き添います。
 寮内では、上級生から教わる手話で、幼児も自然にコミュニケーションをとるようになり、手話も何も知らない玉子先生は筆談のできる子に伝え、あるいは伝えてもらって他の子どもの情報も得るのです。
 新年度から新しく入寮した子どももいるなかで、音を知らない子どもたちがどんなものかも知らず、子どもの抱える問題も見えず、様々な問題にぶち当たり、そのたびに先輩やろう学校の先生に注意され励まされ、教えられていきます。
 初夏になり、この年は第19回の友情のホタルが届く年でした。『5,000匹のホタル』とは、初代寮長の山室先生が、発足当時の粗末でうるおいのない殺風景な寮舎で、親元を離れて暮らしている子どもたちを何とか励ましてやりたいと考えたことから始まります。子どもが図書室で絵本のホタルに見入っているのを見て、かっての教え子である竹田市で雑貨屋を営む後藤彰さんに、ホタルを買い集めて送ってほしいと手紙を書きます。後藤さんは、母校の明治小学校を訪ねて、ここの子どもたちの手でホタルをとって送ってあげたらと提案、賛同した校長先生は子供会に提案し子どもたちが話し合って、自発的に耳の不自由な子どもたちへ毎年ホタルを送るようになるのです。園長先生は9年目の年、明治のホタルがいなくなるのではと心配し、ホタルをふ化させて明治の山川に返すことで友情の輪が完結できたらと考えます。それで、由布院に高校教師でホタルの研究家の秦野先生のところに指導員を行かせて飼育方法を習わせ、生徒たちの研究グループを作らせ飼育に成功させ以後それを毎年明治村に持っていく話からつけられたタイトルです。
 素晴らしい本でした。昨年舞台となった地方を旅行したことでもあり、感動に目頭を熱くして読了しました。

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