『鷹の井戸』 ㈢
2017/07/18(Tue)
 ウイリアム・バトラ・イエーツ著 松村みね子訳 『鷹の井戸』 の中に収録されている作品「心のゆくところ」についてです。
 この作品も、壁に十字架がかかっている部屋での一幕だけでできています。
 登場人物は、マアチン・ブルイン父、ブリジット・ブルイン母、シヨオン・ブルインその息子、メリイ・ブルイン息子の嫁、神父ハヤト、フェヤリイの子供の6人です。
 時は遠い昔で、アイルランド、スリゴの地、キルマックオエンの領内であったこととなっています。

 息子の嫁メリイは、森の見える戸口に立って本を読んでいます。
 そのことについて、義母が、嫁が夕食の準備も手伝わないで屋根裏から出してきた古い本を読み続けていると神父に向かって愚痴をこぼしています。
 息子は、そういう母親に向かって、お母さんはやかましすぎるといい、父親は神父に、家族それぞれを弁護する発言をしています。
 息子のシヨオンがお酒を取りに行っている間、ところで、嫁メリイの読んでいる本はどのような本かと神父がメリイに聞きますと、アイルランドの王の娘の皇女イデーンが今日と同じ五月祭りの日に誰かの歌っている歌の声を聞いて、覚めているような、眠っているような気持ちで、その声を追ってフェアリイの国に行き、皇女は今でもその国でいつも踊っているという話だと述べます。
 それを聞いて、みんなはその本を捨てるようにいいます。そして、ところで家の中に幸福がくるようにとお祭りに戸口に飾る祝いの 山櫨子(サンザシ)の枝を飾るように嫁にいいますと、嫁は山櫨子を釘にかけます。ところが、かけると子供が風の中からかけてきて枝を取っていじっているといいます。
 子供が外で美しい声で歌っています。家族全員でその子をうちに入れ、暖かにしてやり温かい飲み物を与えます。緑の服を着たその子供は、父や母や神父に優しい言葉をかけ、みなに自分を気に入らせるようにします。そのうち十字架を見つけ、あれはいやだからのけてくれといいます。神父は十字架を取って奥の部屋にもって行きます。そうなると、子供の力が強まり、その子供の誘いに乗って嫁のメリイが家を出て行こうとします。
 とめようとするものがどうしても彼女に近づけなくなり、彼女は、子供についていくといい、息子のシヨオンがとめようとしてメリイが死んでいることに気がつきます。
 その子供は、メリイの読んでいる本の中に出てくるフェヤリイの子供で、むかしから、あらわれた家に甘い言葉をかけて、不幸をもたらすという悪霊だったのです。
 母親のように働き者でないと生きていけない、厳しい自然に取り囲まれたアイルランドの民話といった感じがいたします。

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