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『小早川隆景』
2017/08/27(Sun)
 童門冬二著『小早川隆景』を読みました。
 久しぶりに大好きな歴史小説に出合い楽しく読みました。
 童門冬二という作家を知らずにいたのですが、読み終わって今、ウィキベディアで調べてみると、1927年10月生まれで、現在89歳。海軍少年飛行兵の特攻隊に入隊。そのあと東京都に勤務し、東京都広報室長、企画調整局長、政策室長などをつとめ、都庁在職中は、美濃部亮吉都政3期12年を知事のスピーチライターとして支え、都庁首脳として活躍し、1979年、美濃部の知事退任と同時に51歳で退職し作家専業になったとあります。
 また、主題はまちづくり、経営管理、組織論だということです。
 作品のあちこちに、そういう経歴だから、こういった書き方ができたのかと思いあたるところがあります。
 毛利元就が、ことあるごとに言い聞かせた毛利家存続の方法と、その方法では存続が危ぶまれるようになる時代の流れ。その流れを作った織田信長や羽柴秀吉などの、武将の組織作りにそそぐ小早川隆景の目の置き所。ここに、著者の主題が置かれていることに気づかされるのです。
 「解説」は、東京都副知事の青山佾(あおやまやすし)という人によって書かれています。この方も肩書き上、著者と主題を同じくする人のように思えます。
 織田信長は羽柴秀吉を認め、彼に賭けること大です。秀吉の信長への仕え方はよく知られるところで、ここでの「解説」では秀吉に仕えた秀吉の弟秀長についてとくに取り上げてあります。
≪本書のなかでも、主人公の小早川隆景が、秀長と初めて会って、一目で、
 (この人物はやさしい心を持っている)
  と感じた、という場面がある。
  酒宴の席で秀長は、席に連なる武将のそれぞれに対して、それぞれに見合った話題を提供する。
 これを見た小早川隆景は、「すべて、(秀長)がいままで経験してきた汗とあぶらからの所産だ」と感動する。そして
 (見落としていたが、羽柴秀吉殿にはこの弟君が一番強力な支え手だったのだ)と感じる。
 ―ここで童門さんは、「将たるものは、こうしなさい」と押しつけがましく教えたりはしない。場面描写のなかで、むしろ精神を強調する。精神さえ貫けば、方法は、むしろ別の方法でもいいのだ。そこが童門さんの作品が、いわゆるノウハウものと、違うところだ。「バイブルだよ」と言われる所以だ。≫
とあります。
 この解説を読むと作品への理解が深まるいっぽう、おなじ作品を読んで共感しあえる喜びを感じます。
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