『秋霜』
2018/01/14(Sun)
 葉室麟著 『秋霜』 を読みました。
 これも、江戸時代を背景の、純然たる時代小説と言えます。

 豊後羽根、羽根藩の城下の外れに、欅屋敷があります。
 その欅屋敷では、楓が和歌や生け花を教えるかたわらおりうとともに、身寄りのない子どもたちを預かり育てて、平穏にくらしています。そして、千々岩臥雲という羽根藩きっての学者が学塾を開いて楓を助けていましたが、大酒飲みで他のことは何もしません。また、修験者の玄鬼坊も時折屋敷に顔をだしてくれます。
 そこへ、腰に木刀を差しているだけの武士風の若者、草薙小平太が、太吉からの添え状をもって欅屋敷を訪ねてきます。小平太は屋敷で下男のような仕事を快く請け合い力仕事は何でもこなします。じつは小平太は、江戸幕府から巡見使羽根藩に向かって来ることになったために、この巡見使が来る前に、巡検使が疑念を抱いている事情に関係ある人の口止めをする使命を帯びて欅屋敷に送り込まれたのでした。ところが、子どもたちもなついて、36歳の美しい楓も打ち解けてくれ、小平太は楓のためには何でもしようという気持ちになっていくのでした。

 もともと楓は、今は亡き鬼隼人ともいわれた多門隼人に離縁された人でした。
 生前の隼人は藩の立て直しの為に苛斂誅求を行い、さらに難工事のため誰も成し得なかった黒菱沼の干拓工事に着手し鬼隼人と呼ばれるほど領民たちの怨嗟の的となっていました。しかし、3年前領内で起きた百姓一揆に際し、単身一揆勢のなかに乗り込んで百姓たちを煽っていた者を切り捨て、さらに秋物成の銀納を廃止することを約して一揆を鎮めました。藩主は隼人の独断専行を咎めて、閉門させるとともに討手を差し向け横死させます。一揆を鎮めた隼人を討ったことを咎められ、藩主や筆頭家老も隠居します。しかし、幕府の疑念は晴れず、藩にとっては、その関連の人たちが欅屋敷にいることが目障りで、亡き者にしようとしているのでした。

 いよいよ、巡検使が近づいてきます。臥雲は身を犠牲にして、玄鬼坊やその仲間にも手伝ってもらって、子どもをはじめ、楓などを逃がすことにしました。
 国境を超える手前で追いつかれ、小平太が後に残って闘い、皆が渡ったのを見届けてから、国境のつり橋を切って自分は倒れてしまいます。
 獄舎に入れられますが、助けられ、楓と一緒になることを二人で決意します。

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