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『小泉八雲』
2018/03/04(Sun)
 田辺隆次著 『小泉八雲』 を読みました。
 第4版 1980年1月第1刷1992年10月カイテイ刷発行1500円です。
 ハーンの会の貝嶋先生が貸してくださいました。
 まずは序は、著者の田部隆次、坪内逍遥、西田幾多郎、内ケ崎作三郎の4つがあります。
 田部隆次の序では、この伝記の第一版は大正3年4月に早大出版部から出たとあります。そのときまでに、出版されていた幾冊かの伝記、マックドナールドの好意で長く小泉家に送られていたハーンの著作の批評や生涯に関する通信社からの切り抜き、英国の親戚からの書簡を読み、東京大学時代のことを聞くために当時の関係者数人に何度か会い、ウェットモア夫人その他の海外の人とも文通、マックドナールド氏にもたびたび会割れたとのことですが、最も貴重なる資料は小泉夫人から得たとあります。
 それから十数年後に第1書房から再版するときには、欧米取材に出かけ、ある時はハーンの教え子であるという理由だけでいろいろの人から招待を受けたとあり、英国ではハーンの異母妹やその子女に会うことができ、これらのことが何らかの形で付記されたということです。
 そして、第二版以後のあらたな新事実も付記して、昭和25年ハーンの生誕100年を記念して第三版が出版されたとのことです。
 この時には序を書かれた坪内逍遥、西田幾多郎、内ケ崎作三郎は既に亡くなっておられたのですが、この中で、西田幾多郎のハーン作品に対する評が、
 ≪ヘルン氏は万象の背後に心霊の活動を見るといふような神秘思想を抱いた文学者であった。≫から始まって、≪氏はその崇拝するゴーチェのEmaux et Camees の中から、三千年の昔希臘殿堂の破風の石となって白き夢に互いの心をかよはした二個の大理石が二人の愛人の白き肉となり、おなじ母貝の中に育って・・・上述の如き幽遠深奥な背景の上に立つ所に興味を有ったのである。氏はこの如き見方をもって、我国の文化や種々の昔話を見た・・・≫
 のように、私が、ハーンは自分が今まで出会ってきたわずかの著者の世界観と大きく違う部分だと思えるところを余すところなく丁寧に表現してあると思いました。
 昨年、恐羅漢山に登ったとき、頂上から降りていく山中、曲がりくねって何千年もの時を生きてきたような木が、それぞれで話をしているような雰囲気の林の中を歩きました。その時、こんな山中で育ったら、ハーンのような心象になるのかなと思ったりしました。しかし、希臘の殿堂からの思いも・・・とそれなりに納得できます。
 本文中の情報は、多くの人のハーンに関する研究レポートや、ハーンを顕彰されてある文に引用されている事柄がほとんどこれによっているのではないかと思えるほどに、ハーンのバイブルの一冊と言える内容でした。
 また、彼の著書が余さず丁寧に紹介されている部分は、私にとっては大変貴重な情報でした。

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