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『柳田国男 南方熊楠 往復書簡集』
2018/07/03(Tue)
 小泉八雲の「ある保守主義者」を読み終わって、ふと、南方熊楠はこのあたり、どう感じていたのだろうかと、寝物語に、少し前古本屋で買っていた平凡社の『柳田国男 南方熊楠 往復書簡集』を読んでみました。
 読んでみましたと言っても、上下二段の464ページに時候なしの書簡がびっしり、これでも、見つかったもののなかで、熊楠のものは3分の1は紙面の都合上省いたといいます。
 ≪彼は面識のない人物の訪問を極端なまでに嫌いながら、一方で書面での問い合わせには、実にこまめに返事を出している。顕微鏡を使ってする粘菌類などの写生を途中でじゃまされたくなかったという事情もあろう。しかし、南方が書簡という形式をかりてもっとも率直に自分の学問や人生観を吐露することができた最大の原因は、やはりその性格に求めるほかはないだろう。≫
 ということは、出会って話すより、これを読むほうが、彼の本心により近づけると思いきや、彼が大切にしていた民俗学の当時最新と言える資料に近づけると言った方が適切です。ですから。「ある保守主義者」の参考になる部分には・・・・の思いでしたが、研究の方法論にまで言及しなければならなくなった大正元年12月8日午後2時に書き送った書簡に
 ≪ついでにいう。わが邦の学者は、何ごとも欧人の踏んだ順序を追わねば開化にならず、学問にならぬように思い、また思わずとも自然そのように成り行くは惜しむべし。東西を参考して一飛びによき物を採るの聖旨に戻れり。これは今に始まったことにあらず。熊沢蕃山など勤王の嚆矢のごとくいわる。しかるにその書いたものには、・・・・。このごろは、西洋には何が何より来ると、世界中の事物みな一源より出でしごとくいう説は、すでに多分過去のこととなりおるに、邦人は今にその旧轍を襲い迂回するは、主として書を購い、書を読むの費に乏しきお蔭と嗟嘆仕り候。これは学者の上に止まらず、維新のとき商業組合をつぶし(日本の商業組合は日本にてできたるものなり。スペイン人、オランダ人などの書にもこれを称揚して書きたり。もしこれを欧州に真似たりといわば、足利氏の世より泉州堺に政庁ごときもの武力を具したるをすらドイツのハンセアクチク・リーグ(ハンセ団)にまねたりとせんか、鑿のはなはだしきものなり)、さて後に欧州に組合あるを知り、品川子ら大周章して組合を作成せり。その他神社合祀といい、魚林の乱滅といい・・・。≫
 そのあとは、自分の運動についての説がつづくが、やはり
 ≪西洋がせでよきことをして、それを聞きかじって真似て、西洋がそれを悔いて復興すればまたまねて復興する。≫
 と一々もっともな御説。
 たしかに子爵とはいえ長州の足軽の子である品川弥次郎農務省大輔には、堺に武力を備えたギルドのようなものが存在し、かっては海外貿易で巨万の富を築いたことなど、御存じなかったかもしれないことは頷ける。

 それに、財布の貧しい私も、2000円で昭和51年出版のこの本を、ようよう平成28年ころ古本屋で700円で購入し、今やっと、大正元年の熊楠の御高説をたまわった身です。帰国しても『ネイチャー』などの科学雑誌に投稿を続けていた熊楠様に叱られても仕方ありません。

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コメント
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2018/07/07 09:14  | | #[ 編集]
- お見舞いありがとうございます。 -
 今のところこちらは被害がないようです。
 朝からしっかり朝食をとって、ビタミン剤を飲んで、お風呂に入りました。今は夫が入っています。
 すでにおととい、たまたま消防署の前のお店で、ひさしぶりに友達とランチを取っての帰り、すでにメイン道りの国道54号線沿いの可部郵便局の前は池になっていて、怖い思いをしました。
 避難する道路のほうが怖いので、家で栄養を付けています。
2018/07/07 10:51  | URL | 深山あかね #-[ 編集]
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2018/07/08 15:50  | | #[ 編集]
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2018/07/08 16:09  | | #[ 編集]
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