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 『黒いちょう』
2018/09/21(Fri)
 文・松谷みよ子 え・遠藤てるよ 『黒いちょう』 を読みました。
 ポプラ社より、昭和50年8月第1刷 昭和59年3月第10刷 定価750円の本です。
 近くの児童館で、交通安全協会主催の交通安全教室のために出かけたとき本棚で見つけて半年くらいをめどにお借りしたものです。

 『黒いちょう』というタイトルで思い出すのは、松岡鶴治著『黒い蝶』です。というより、半世紀前にご自分の祖父が出版された手記を、復刻された桑本仁子さんです。
 彼女は大変な才女で、これの英訳も出版し、アメリカの図書館などに寄贈されたのだそうです。一昨年平成16年7月のハーンの会にお出でくださりお話を伺うことができたのです。その時の美しい桑本仁子さんを思い出すと同時に、作品の中で、おじい様が戦時中、広島市内から山陰への県境まで一台の自転車で、その後まもなく亡くなられてしまわれる被爆された娘さんと疎開地の家族のもとへ黒い蝶の舞う姿とともに歩かれた道々のことを思い出すのです。

 私は黒い蝶について調べました。そして、黒い蝶のオスの蝶道について知ることができました。そのとき、ハーンの会の先生方は、自分たちの子どもの頃は、黒い蝶が家に入ってくるのは不吉の知らせだとおうちの人たちが敬遠されていたと話してくださいました。
 この作品は、その時の先生方のお話を彷彿とさせるような作品でした。

 お月様とお日様はお仕事がちがうのでめったにであえませんでした。ときたま、お日様が西の空に沈もうとするとき、お月様が東の空に姿を現す時があります。そういうとき、お日様とお月様はなつかしそうに、いろいろの出来事を話し合われるのでした。たいていは、可愛かった子どもたちのお話のようです。
 ある日、お日様は沈む間際にお月様を待っておられました。ふるえる声で、「わたしは、きょう、はらがたってならないのです」と、お日様は真っ赤に燃え、雲のいろどりもただならぬ有様でした。「あの山を見てください。あの山に、今、ひとりの子が死んで横たわっているのです。しかし、その子の村では、まだ、そのことを知りません。それなのに、私は沈んでいかなくてはならないのです。」「なぜですなぜその子は死んだのです。」とお月様はせきこんで尋ねました。
 あの山は、村人にとって生活に必要ななくてはならない山でしたが、『立入禁止』の立札が建てられ、見知らぬ国の大勢の兵隊たちが戦争の訓練をするところになりました。その子は、きょうは演習がないと聞いて、弾丸の破片を鉄くず屋に売って、おとうさんおかあさんを喜ばせようと山に登ってきて、鉄くずを見つけては集めて喜んでいました。その時黒い蝶がひらひら飛んできたのです。あまりにの美しさに帽子を脱いで追いかけはじめ、山の深くまで誘い込まれていきました。ところが、ぴたりとやんでいた大砲がいっせいに打ち出されてその子は死んだのです。お月様は涙を流して、わたしが、「その子のそばにいてやりましょう。もし村の人たちが探しに出たら、どんな小さな道も明るく照らしましょう」と約束しました。
 ジーンと胸にしみる、そのような話でした。
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