『冬子の兵法愛子の忍法』
2008/04/18(Fri)
上坂冬子・佐藤愛子の 『冬子の兵法愛子の忍法』 を読む。

この本を出版をするために企画された往復書簡である。
いうなればやらせの往復書簡集である。

「はじめに」にそのことが紹介されてあったのですかしがっかりして読み始めたが、お互いに誠実な手紙のやり取りなので、政治・外交・歴史観などに対する評論がだんだん面白くなっていった。

たとえば、台湾に対する考え方。

≪だからね。
私は佐藤さんのお手紙にスニヨンたち高砂兵に「謝罪したかった」とあるのを読んで、ちょっと違和感がありました。そりゃ高砂兵のスニヨンに対して日本からのカンパが横井庄一さんの四分の一しか集まらなかったのは不公平な気もします。
でも、私だったら可哀想とか気の毒とかで涙することはあっても、「謝罪」って気にはなれないと思います。だって、戦争って私の手に負えるものじゃないもの。
少女の私は時代に流されるしかなかったわけで、私に謝罪責任は無い。まあ字で書くとこんな方ぐるしい表現になるんだけど、この種の問題で私ごときが謝罪するのはおこがましいというような思いすらあります。・・・・・・・・≫

お互い台湾の人を主題にした作品を書いている。
上坂冬子は『虎口の総統 李登輝とその妻』であり、佐藤愛子は『スニヨンの一生』である。

上坂冬子はこの作品を書くために再三台湾に渡っている。佐藤愛子は1回である。

李登輝については、数年前『アエラ』で、台風か何かの変災時のとき、その対応指令を児童館から出したと言う記事を読み、当時、私達の自治体が児童館のランニングコストについて気にしていたとき、公共の施設がこういった変災時に役立つことを提案したことがあったので印象に残っている。
また、司馬遼太郎にも李登輝との関係について書いた作品が少しあったような気がする。
そのため李登輝については私にも好印象がある。

『スニヨンの一生』は、日本が台湾を統治していたときの原住民高砂族で日本名を中村輝夫といいモロタイ島守備隊の一員であった人の物語であるという。この当時の台湾の話は、このブログにも紹介した『Fマン事件』でも扱っていたのを読んでいたのででかなり理解が深まった。同じように統治しても台湾と中国の満州・朝鮮半島では国情も違えば国民性も違うし、統治した総督府の長によっても違いがあろうがなかでも日本の当地に対していちばん嫌悪感を感じていないのが台湾であると思える。
この『スニヨンの一生』を読んでみたくて近くの大学の図書館と公民館の図書館を探してみたが残念ながら無い。

このお二人の人間のどうしょうもない情の深さ浅さといったようなものも感じた。


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