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『古代都市平城京の世界』
2020/06/13(Sat)
 舘野和己著 『古代都市平城京の世界』 を読みました。
2001年、川出版社出版から、日本史リブレット7としての出版です。

「おわりに」において、
≪紙面の都合で、あるいは筆者の準備状況・力量から、触れるべくして触れることができなかった論点も多い。ここでみたのはあくまで平城京のみである。平城京を対象にすれば、またおのずと異なった都市像が浮かび上がってくるはずである。≫
とありますが、この「日本史リブレット」シリーズのなかでは、いちばんおもしろく読めました。

694年から710年までの城都である藤原京から北の平城京に遷都するところから書きはじめられています。藤原京ですでに条坊制をひいた京を確実なものとしていたというので、さらにそれを進化させた都市であったと思えます。ここで「京」というのは、「宮」に対してつかわれる言葉で、「宮」は、王族の宿営地といったもので平城宮のことです。その前に広がる縦横の何筋かの通路で出来上がった街を「京」と呼んだというふうに理解しました。これを作るにあたっての土地選びということですが、藤原京は地形的に「京」がたかく、「宮」が低かったのではないかと思われます。平城京を選ぶにあたっては「宮」を高くし、しかもそれが北にあたり、南に低く「京」が伸びている地形が選ばれました。「条坊制」とは、横の通路が「条」縦の通路が「坊」の碁盤の目のようにすることです。「宮」は、一条と二条の間、西一条と東二条の間です。まんなかの大路は朱雀門から始まる朱雀大路です。
「平城宮への遷都」、「平城京の都市計画と住人」、「平城宮の実相と官人」、の次「商業者の世界」も興味ある話題でした。商業者と納税者と為政者の関係が資料採掘の研究によってわかってくることで、社会の仕組みが分かってくる楽しさがあります。
 「平城京と地方とのつなが」では、何のことやらと漠然と読んだ『万葉集』の衛士などの単語がでてきます。中央が地方に要請した人材とそれへの地方からの食糧などの支援要請などがでてきて、つながりを少しづつ見えやすくしてくれます。
 「都市の苦悩と祈り」は、これまた、現代の新型コロナウイルス時代につうじる課題です。
 ≪現代都市は、交通渋滞・大気汚染・廃棄物処理・人口過密・貧困・失業などなど、多くの問題を抱え、解決に苦しんでいる。≫
と前置きし、10万人を擁していた平城京の苦悩も、この人口過密による問題は同じとして、ことに、『続日本紀』には「飢疫」の語が頻出しているといいます。最悪の事態として、737年に発生した疫瘡について「是の年の春、疫瘡大きにおこる。はじめ筑紫より来たりて夏を経て秋に渉る。公卿以下天下の百姓相継ぎて没死ぬること、あげて数ふべからず。近き代より以来、これ有らず。」と語られているというのです。疫瘡は天然痘のことだろうといいます。≪夭死する人が多かった。翌年一旦収まったかのようであるが、737年になると、再び流行し、4月には参議民部卿藤原房前が死去し、太宰府管内でも多くの死者を出した。そのあと政府要人の死者の名前が続きます。
 専門家による提言の如く、第二波のほうがひどかった前例の一つと思えます。

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コメント
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2020/06/17 20:09  | | #[ 編集]
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向井ゆき子様
コメントうれしく拝読しました。
やはり、熊本では『今甦る合志義塾の教育』のパンデミックが!! 
多くの人の目に触れることがとてもうれしいです。K君のフアンも実は増えていると想像できます。このたび少し読み返して、お父さんとの会話で、少し涙が出そうになるのは年齢ですかね。
さすがに5月は読み過ぎたせいか、本は少し飽きてきました。
いまは、加川さんという古文書の解読を習っていた人が昨年春に亡くなられ、ご遺族から、よかったら古文書関係の本や資料をすべて引き取っていただけたらといわれ、家にどっさりと積み込んでいたのを読み始めました。
今朝読んだもののなかに、「薩摩の隠れ念仏」という資料が一枚あり熊本のことを思いました。印刷が悪いので読みにくいところもあるのですが、肥後水俣の源光寺や西念寺に聴聞に赴いたという部分では、水俣を夫と尋ねた時、どちらかのお寺を見学したことを思い出していました。薩摩の一向宗への弾圧についてかなり詳しい資料でした。(信徒がこっそり江戸時代まえから長いあいだ直接京都の西本願寺に連絡を取っていたことが、幕末維新の時の活動をするにあたって、西本願寺などがかくまってくれたりしてできたことについてはここでは触れられていませんでしたが)こんなはなし、向井さんだからできることで、誰も興味を持っている人はいないので、一人で「へえー、なるほど」と読んでつぶやいています。
コメントは、最近ワードに入れてからコピーで入れています。
2020/06/18 01:47  | URL | 深山あかね #-[ 編集]
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