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「道楽と職業」
2021/01/04(Mon)
夏目漱石著「道楽と職業」を読みました。
 『漱石全集の第二十一巻』の 二番目の作品です。
 この作品は、―明治四四年月明石に於いて述―とあり、明石での講演記録です。
読み進むうち、12月に松井卓子さんが送ってくださった「漱石と広島」の会の会報10号・11号を読ましていただいたなかの、「研究者・批評家から小説家へ―夏目漱石『夢十夜』(第十夜)の意味するもの―」と題した宇野憲治先生の寄稿を思い起こし、いつもより、違った感覚で読むことができました。

 宇野先生の寄稿では、夢十夜の登場人物の庄太郎がついて行った女性に底の見えないところに飛び込んで御覧なさいと言われ、飛び込まないと豚になめられますよといわれ大嫌いな豚ではあるが、命には代えられないと飛び込まないでいると豚がすり寄ってきたので、庄太郎は杖で豚の鼻頭を打った。豚はぐうと倒れて絶壁から落ちていった。次々と出てくる豚はこうして絶壁に落ちていったがだんだん手が蒟蒻のようになってとうとう豚になめられてしまったという夢について、このことは、女性を眺めていただけだったときから、ついて行ったとき、すなわち、研究・批評していただけから、小説家になったことで、仕事に対して過労死することを重ね合わせている夢ととらえられてのことでした。

 漱石は、「道楽と職業」で職業は他人本位でやらないと金にはならない。自己本位でやれるのは、哲学か、研究者である博士か芸術家であるが、最後に、自己本での文芸家について述べているところが宇野先生の寄稿の内容と重なり合ってくるところが面白く感じたのです。

 朝日新聞主催と思えるこの講演では、さすがに自分には社から、作品数のノルマや、読者の気をひき売り上げに貢献するような作品をとの注文が課せられてはいないと言いますが、実際には、数年のうちにはだんだんその重圧に襲われていくことは確かであったと思われないでもありません。


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