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『地図にない島』
2021/04/13(Tue)
 井上靖著 『地図にない島』 を読みました。
 1980年文芸春秋発行の文庫本です。なにしろ522ページの分厚い文庫本ですが、一気に読み上げました。

 それほどストーリーも闊達で、にもかかわらず誌的な文章表現による美しさにも魅せつけられながらの読書になりました。

 多加子と洪介の結婚式で小説は始まります。すぐ後、新婚旅行に京都に出かけその途中から多加子は逃げ出して家に帰ってしまいます。洪介は京都に住む友達の八代を呼び出し慰労会をします。途中八代の知り合いの絵描きの女性に出会い、さらに一緒に飲み歩いて、洪介はその女性の家に泊めてもらうことになります。
 一方家に帰った多加子は、母親に仲人の家に行って謝るようにきつくいわれて、仲人の家に行き、そこの一人息子の章三に事情を知られますが、彼は、嫌だったら思い切って帰ってくるのは勇気あることだと応援してくれます。そのあと多加子は章三に結婚を申し込まれ、それを拒野に苦労をします。多加子は、洪介も章三も嫌いではないが結婚する相手とは思えないという気持ちを表明します。
 多加子はこんななか、大学生の時家を何度か訪ねたことのある大学の猪俣先生にしか相談できる人がいなくて二度相談に行きます。二度目に自分が好きなのはこの猪俣先生だと気づきます。
 ところが物語が進むにつれて、この猪俣先生は京都で洪介が止めていただいた絵描きの女性亜紀をずっと思い続けていた人なのだということが分かってきます。これら3人の男性と、二人の女性による恋愛小説です。
 解説に
 ≪井上の恋愛小説のヒロインは常にロマンティストであり、理想主義者であり、女性特有の非論理的な勘や感性によって理想の純粋な恋愛を追い求めようとする。そして作者自身も恋愛の純粋性をそこに求めようとしていると言ってよかろう≫
と、述べられています。また、
≪井上の小説に、このように画家がしばしば登場するのは、理由のないことではなく、井上の新聞記者時代に美術記者としての長い経験があったことはよく知られていることである。≫
ともありました。
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