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『氷 壁』
2021/04/17(Sat)
  井上靖著 『氷壁』を読みました。
 1963年、新潮社の文庫本です。528ページの文庫本です。
 集中して読める状況だったのですが、なんとなく読み進めない内容でした。おかげで、途中で交通安全協会の総会の案内が、支部の19名の理事に往復はがきで送れるようにすべて印刷ができ、ポストインするだけになりました。事務局としてはこのパソコンでの往復ハガキ作りがいちばん気の滅入る仕事です。気にかかる作業を早めに成し遂げて後半を読みました。

 山登りの好きな魚津恭太は、奥多摩から東京に帰って、次は正月休みに、奥又白に二人で一緒に登る友人の小坂乙彦に出会います。小坂乙彦は八代美那子と待ち合わせをしているのでした。八代美那子がくると魚津は気を利かせて帰るのですが八代美那子もすぐ後を追いかけてきて相談を持ち掛けます。小坂乙彦がしつこく愛を告白してくるのに困っているのでやめてほしいと伝えてくれというのでした。八代美那子には20歳以上年の多い八代教之助という夫がます。
 魚津は、八代美那子に頼まれたことを小坂乙彦に伝え、あきらめるよう強く話します。と同時に、小坂乙彦の思いが強いことを聞かされます。

 計画通り、暮から正月にかけて、魚津と小坂は奥多摩に登ります。標高3000メートルの氷壁を小坂が自らトップを志願して登っていた時

 ≪事件はその時起こったのだ。魚津は、突然小坂の体が急にずるずると岩の斜面を下降するのを見た。次の瞬間、魚津の  耳は、小坂の口から出た短い烈しい叫び声を聞いた。≫

 小坂は死んだ。魚津は下山して捜索隊を結成し、見つけ出した遺体の処理をして、遺骨を小坂の郷里の母親に小坂の妹かおると共に届けに行きます。魚津は小坂の事故は「ナイロン・ザイルが切れたから」というので、ナイロン・ザイルがそれまでのザイルより強度が強いことを主張する製造会社が強度実験をします。それをするのが八代教之助でした。実験ではナイロン・ザイルは切れませんでした。魚津の会社もそのザイルを作っている会社と関係を持っていたために会社を首になり、嘱託として働くようになります。
 八代美那子は自分のせいで小坂は自殺をしたのではないかと勘ぐり、魚津に同情します。気づかないうちに八代美那子も魚津もお互い惹かれ合っていました。
 同時に小さい時から兄から魚津のことを聞かされていた小坂かおるも魚津に惹かれ結婚を申し込むのでした。魚津もそれに応じ結婚の約束を受け入れます。
 魚津はかおると穂高に登る約束をします。彼女が行ける徳沢小屋まで行って魚津が飛騨側の滝谷の岸壁に挑戦して降りてくるのを待っていてもらう計画でした。滝谷の岸壁に挑戦することで八代美那子の幻影を払い落とすためでした。そしてここで事故にあって魚津も事故死するのでした。

 この作品では、魚津の上司である支社長の常盤大作が魚津への愛情を示すところが一息入れる読書になりました。
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