「刃風走馬灯」
2008/11/12(Wed)
早乙女 貢 著『ばさらい奴』のなかの「刃風走馬灯」を読む。

 これは、『ばさらい奴』のなかの前の作品「棕櫚柄組」の三男水野十郎左衛門成貞の倅、水野十郎左衛門成之の話である。
 父親の水野十郎左衛門成貞の話はもはや阿波守となった蜂須賀家の姫を奥方として掻っ攫う話であったが、棕櫚柄組の頭領水野十郎左衛門成之は、色町の女を掻っ攫う話であるし、その女と男色関係を持っていた男に裏切られたのなんのという話である。又競い合う者たちが町奴の頭領でもある。
 かれの「ばさらいぶり」はその父親の「ばさらいぶり」とくらべるとずいぶんとすれっからしの感がある。
 それは、あの戦国時代での武功が最終的に徳川幕府によって定められていき、定着していき、落ち着きを取り戻していく市民生活のなかで、父親の代と比べて旗本の存在がだんだん無用のものとなり疎まれていく状況を上手にあらわしているともいえる。
 その落ち着きの中で町人の生活も活気をとりもどし、旗本よりも町奴のほうがより町人に受け入れられるようになり、もって行き場の無い旗本の無頼感情の表れでもある。

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