『ある運命について』 ③
2008/11/20(Thu)
司馬遼太郎著 『ある運命について』ー昭和5年からの手紙ー を読む。

 この作品は小説家の長沖一(まこと)という人のことについて書かれてある。
 この人物は知名度の低い小説家であるが、アチャコ・浪花千栄子の『おとうさんはお人好』という連載小説の作者であったということだ。
 
 司馬遼太郎は新聞社に勤務していたころ原稿料を届けに行ってこの謹直な長沖一(まこと)という作家の人柄にふれるのである。

彼は若いころ兵役に服する。
 彼の若いころ、彼のような高学歴の人たちは兵役を逃れるべく体に故障を作るなど工夫をして現兵役に服する人は希だったということだ。
 昭和5年、彼は十ヶ月の兵役を済ませ東京に帰って藤澤さんら友人たちのすすめで、初年兵と内務班のいわば動物的な状況を素材として「肉体交響楽」を書いた。
 しかし、時局がらそれが発表されずにいた。
 それが、彼の死後家族の協力でみつかり 、司馬遼太郎も読めることになったということだ。

 ≪この作品の末尾に、その情景が展開する。深夜初年兵の一人がうなされて絶叫すると、共鳴してすべての初年兵が起きだし、下着のまま営庭にとび出すという現象でその共鳴が棟棟に波及し、またたくまに暗い営庭に下着姿の初年兵が盛り上がってしまうといわれる。≫

 いわゆる昭和の十五年戦争以後太平洋戦争になって末期、だれかれの区別なく徴兵されたまたま生き残ったものによって戦争文学というものが出てきた。それ以前に鎮台的な軍隊の最後、そして太平洋戦争のはじめのころの初年兵の体験記を読むことによってそのころの知識青年の精神風俗を垣間見ることができるとしている。
 
 このような、軍隊という非人間的な組織の記録が残らない世の中になってほしいと切に願うけれど、今朝、テレビで、有識者の人たちが今の日本の状況が昭和5年の状況に大変似ていると発言していて、不穏な気持ちがした。。


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