『教科書の文学を読みなおす』
2009/01/03(Sat)
島内景二著 『教科書の文学を読みなおす』を読む。

第一章 人間はいつも恋をしてきた 『それから』
     
     文学者は、みんな恋愛小説家だった
     苦しい恋から逃れる方法
     昔には帰れない
     人生が二度あれば
     赤い炎に包まれて
     結婚は幸福をもたらすか
     燃え上がる恋・余聞
    
第二章 若者は、なぜ旅にでるのか? 『坊ちゃん』
 
     人生は旅である
     坊ちゃんは、意外と知識人
     乱暴者で、親から愛されない子
     イナゴの試練
     敵対者から親友へ
     旅をしてみてわかること
     愛する人と暮らす家

第三章 悲しみは、時空をこえる 『舞姫』

     文学は変わらない
     人間の心も変わらない
     国境を越えて引き裂かれる母と子
     母親からの手紙
     別れの予感に泣く母子
     エリスは、夕顔の再来
     豊太郎は、浦島太郎?
     
第四章 人生は、「仮の宿り」である 『草枕』

     人生は自分のためにある?
     自分ひとりのためにある草庵
     『方丈記』を英訳した大学生の孤独
     行く川の流れは絶えずして
     『草枕』という名作
     波を漂う那美
     「憐れ」という感情の発見
     憐れと、pity
   
第五章 自分の幸福は、他人の不幸? 『山椒大夫』
   
     くるくる変わる幸福と不幸
     鬼が島は、なぜあるのか
     イジメ問題の根っこ
     どうして全員が幸福になれないのか
     『山椒大夫』の親子
     形見の品にパワーがある理由
     人間が神仏の心に近づく時
     イジメの連鎖を断ち切る
     愛情のバトン・リレー
     人間の幸福とは何か

 著者の島内景二氏は、教科書で出会った文学作品を読み返し、時代やジャンルをこえて、テーマごとに読むことの楽しさについて述べようとしている。
 この書は、子ども向けのものではないが、かれは、読者のターゲットを完全に子どもに当てている。
 私も子どもの気持ちになって読んで、ほんとにたくさんのことを教えられた。
 本を読み終えて、このブログを書き込む前にNHKの「知るを楽しむ」という番組で瀬戸内寂聴さんが『源氏物語』を解説している番組を見た。途中から見たのが悔しかったが、家族で見たので夫や息子の意見も聞けてよかった。意外と我が家の男性たちが、登場人物の心のひだに触れているのにびっくりした。恋物語の中の女性像としてこれほど教養が要求された物語もないのではないかという点に最近気づいたわたしを奇異の目でみる家族にちょっとびっくり。
 
 自分を考えるにあたって、読んでいて、はっとした部分では第四章のなかの『草枕』の引用部分
 
 ≪色々に考えた末、仕舞に漸くこれだと気が付いた。多くある情緒のうちで、憐れという字のあるのを忘れていた。憐れは神の知らぬ情で、しかも神に尤も近き人間の情である。御那美さんの表情のうちにはこの憐れの念が少しも現れておらぬ。
 那美という女性は、「悟りと迷いが一軒の家に喧嘩をしながらも同居している」ような、「心に統一のない」女性である。だから、彼女を絵に描けない。もしも、彼女に「憐れ」という感情が湧けば、迷いが失せ、彼女の心の中の家は安定するだろう。≫

人間は、みんなこんなものだろうと思っていたが、「彼女を絵に描けない」と似たようなことを若い頃何人かの男性にいわれたことがある。夫に聞いてみると、「何年一所に暮らしていてもそうだ」という。この書では、漱石がそういった女性に救いの手をしっかり差し伸べている部分についてしっかり述べている。
 「はい」しっかり読んで人生を救われたいと思います。
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