『広重「江戸名所百景」より』
2010/06/18(Fri)
藤沢周平 著『広重「江戸名所百景」より』 を読む。

 「日暮れ竹河岸」
 商売の才覚のある市蔵は横町の借り店で儲けたので表通りに土地を借りて以前の空き店をこわして新しく店を立て替えたがさっぱり売れず借金取りに追われるようになる。潰れかかった店のために誰彼となく金を借り歩かねばならなくなった市蔵の様子を描く。

 「飛鳥山」
 江戸の北郊外王子権現のそばにある飛鳥山は、将軍徳川吉宗が庶民の行楽地としてひらかせたという桜の名所。
花はいまが盛り。
遠く千駄木から歩いてきた子どもが出来ないために夫に逃げられたことがあり、今では年老いた母親を看取るための小金もためている女がふとなついた子をさらって逃げてしまうというはなし。

 「飛鳥山」といえばどこかで読んだことがあるようなと思っていたら思い出した司馬遼太郎の『坂の上の雲』で秋山よしふるが試験のとき「飛鳥山」についての問題が出たが東京に出たばかりで「飛鳥山」のことを知らずに的外れな答案を出したというはなしであった。私もこの作品を読んで初めて「飛鳥山」について知ることが出来た。

 「雪の比丘尼橋」
 橘屋藤五郎は道中師といわれる人入れ稼業。今でいう人材派遣会社。そこで食えなくなったときだけ働いていた鉄蔵。お前のような暮らしをしていたら若いうちはそれでもいいけど年をとったらどうする、私が死ねば末は野垂れ死にだよといっていた四十前に死んだ女房のいうとおりの末路を描く。

 「大はし夕立ち少女」
 いまは奉公に出ている12歳の少女。
幼い頃亡くなった化粧をすると別人のように美しくなったやさしかった母親の思い出を胸に、大好きなお使いに出かけて夕立に出会う少女の話。

 「猿若町月あかり」
 遊び人の甥っ子が親戚からお金を借り歩いていると言う。とうとう善衛右門のところにもやってきて、五両貸してくれというが、甥っ子の母親からためにならないから貨さないでくれと言われていたが、借りた金で返さないと酷い目に会うと言うので貨せられないと言って返したが気になって後を追って3両与えた後、暮らしぶりなど何も知らないのに貸してやってやはり後悔するという話。

 「桐畑に雨の降る日」
 ゆきが十歳のとき父親が病身の母親と自分を残して棟梁に渡すべきお金を持って駆け落ちした。そのあと母親も死んで1人になったが父親が帰ってきたら一緒に暮らせるようにと、住み込みも断って長屋にひとりで住んでいた。父の兄弟子だった大工に大阪で所帯を持って暮らしていると言う父親の消息を知って天涯孤独になっている自分に気づく。以前から所帯を持とうと言ってくれていた豊太の所に行く。男なんて嫌いみんな死んじゃえばいいといって泣くが豊太は、みんながそうじゃない大事にするよといってくれるというはなし。

 「品川洲崎の男」
 幼くして父母に死に別れ叔父夫婦に育てられた。血の繋がらないおばの方が情をかけてくれたが、子沢山のため奉公に出る。
小金もためて、風格のある男性にも間近く知り合う機会もありながら知り合いの世話でうだつの上がらない田舎者と所帯を持ってしまう。揺れる気持ちを持ちながら今の生活が幸せなのだとおもう。

江戸の町人の生活をあれこれと綴っていて元祖江戸っ子に出会ったかんじ。
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