『日露戦争史』
2010/07/02(Fri)
横手慎二 著 『日露戦争史』 を読む。

 著者は30年前の高校生のとき、司馬遼太郎の『坂の上の雲』をいっきょに読んだという。
 日露戦争の事実への考察がしっかりなされなかったことが昭和10年代の異常を作り出したのだと司馬遼太郎はいろんなところで書いている。

 ロシアではこの戦争に負けたにもかかわらず日露戦争史はおおくかかれ研究されているという。それらのいくつかを読んだ著者はとくにアレクサンドル・スベェーチンという人の『日露戦争史』に強い印象を受けてこの書を書いたという。
 スベェーチンという人は1903年に参謀本部付属ニコラエフスク・アカデミーを卒業して参謀本部に勤め、間もなく日露戦争が勃発し志願して参戦する。戦後再び参謀本部に勤務する。彼はブルジョアということから何度も逮捕されるが、彼の研究をソビエトが必要としたために何度か釈放され結局1938年に処刑された。
 彼の日露戦争史観は、つねにロシアは日本に負けたということを念頭に日本は、ヨーロッパ大陸で発展してきた軍事理論を創造的に発展させ、陸軍と海軍をたくみに結合して新しい時代の軍事戦略を展開したと高く評価し旅順の攻防に戦略的意味のほとんどが集約されているという。
 著者は、このスベェーチンの考え方をすべてとしたのではなく、彼の書にあるロシア側の日本に対するそれぞれの攻防への情報を知ることによって、より鮮明に立体的に日露戦争が感じられてきたのではないだろうかと思う。
 この『日露戦争史』は、どのような世界の状況といきさつが戦争を引き起こしていくのかへの関心に充分こたえてくれる。そして旅順攻略が成功したその報道により世界の状況がどう流れていったのかということを意識的に見ていくと2月に読んだ黒岩比佐子著『日露戦争勝利のあとの誤算』でも感じたように報道の影響の大きさを改めて感じる。

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