『あじさい日記』
2011/06/17(Fri)
渡辺淳一著 『あじさい日記』 を読む。

 昔よく言っていた、テレビの『昼下がりの熱愛ドラマ』さながらの内容。
 開業医の院長をしている川嶋省吾。
 夫婦の倦怠とでも言うべき時期に、自分の寝室のクーラーが壊れていたために妻の寝室のベッドで休んで、ベッドと布団の間に妻の日記帳『あじさい日記』を見つける。
その日記に夫が浮気をしていることへの想いが綴られている。自分の浮気に苦しむ妻の心情は理解できるものの大目に許して欲しいとの思いは変わらず、以後、仕事と浮気で忙しい合間を縫って妻の留守中にこの日記を読まなければ落ち着かないという心境になり、内容はほとんど妻のあじさい日記になる。
 苦しむ妻は、世間の夫婦のありようについて考えたりしながら、その心境を気のおける友達に相談してみる。納得できる忠告の中でひとつ、少し家庭のことばかりでなく自分のたのしみに生活を広げるようといわれて、昔卒論でやっていた『源氏物語』をもういちど深めてみたいと思い大学での先生の『源氏物語』を読む会に参加する。10歳近く年上の講師と金曜日の例会のあと毎度食事をして、『源氏物語』の資料をかりに研究室に行ったり、源氏物語絵巻の展示会に一緒に出かけたりするうちに深い中になってしまう。
 そのことにやきもきしながらもさらに読み続けていくうち、自分は浮気相手に飽きられ、妻も先生に妻子がありそれをなにより大切にしていることを悟って熱が冷め夫に対する生理的な嫌悪感もなくなっていくところで日記は終わる。そして小説も終わる。
 
 小説中、『源氏物語』の先生が男女の機微について解説をしているところが大変おもしろい。ほとんど覚えていないが、若いころ読んだとき、女三宮がなんとなく好きだなっと思っていたのを思い出し、その辺の解説を注意深く読む。日記の中に、若いころ読んだときとはまったく違った感想を持つと書かれてあったが、作品は読む人の鏡のように思える。

 
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