「沖田総司の恋」
2012/01/30(Mon)

 司馬遼太郎著 「沖田総司の恋」を読む。

 これは司馬遼太郎短編全集八のなかの作品。
 当然新撰組の沖田総司のことであるが、絵になる作品である。

 沖田総司は隊員に知られぬよう労咳の治療に通い始める。その町医者の娘に淡い恋心を抱くようになる。その町医者は西本願寺の門跡の侍医でもある。
 沖田総司は自分の身分や置かれた状況から、娘を手の届かない人と心得ている。
 それでも、遠くからそっとその娘を見ていたいという強い気持ちだけは持っている。
 しかし、ほんとうの弟より総司のことを可愛く思っている近藤勇や土方歳三は、沖田家のためにもなんとか結婚させてやりたいと、総司に相談もなく町医者である半井家に嫁にくれるよう申し込みにいき、体よく断られ、総司のはかない夢を壊すのである。

 もともと、新撰組の幹部は武州の人たちでしかも身分はたかくない。
 京都の町に昔から根を張って住む人は、王家によって生活が成り立っているので、王家を大切にする外様大名がひいきである。ましてや尊皇攘夷の時代である。長州人を町中でかくまう時代である。さらに、徳川家康によって本願寺はその力をそぐために西と東に分けられ、東は佐幕派であるが西は京都移転の昔から宮廷との関係がふかく半井家はそこの門跡の侍医である。

 小さいころからはにかみ屋で、自分の気持ちをなかなか言い表せないせつなくたわいのない恋。この相容れない組み合わせの恋をさっと書いてあるのがさわやかだ。
 
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