『街道をゆく 15』 2
2012/08/17(Fri)
 司馬遼太郎著 『街道をゆく15』 のつづきを読む。
 週刊朝日の昭和54年1月号からのものが26話収録されている。
 そのなかの5話が函館のもので、6話から は函館を西に向かい福島の松前藩の興亡。そして北へ。江差の話まで5話ある。
 東北も北海道の地も踏んだことのない私にとって、異郷の地の話であるが、司馬遼太郎は、日本の特徴として、地方が中央と同じであろうとすることを極寒の松前藩を例に語る。日本人の心象が、戦国期より北は松前から薩摩まで変わらなかったことを前提に理解をしてみたいと思う。
 戦国の統一期、松前氏はどのようにしてその存在を中央に認めさせたのか。認めさせたものが周辺諸国へも追認させることになるのである。津軽の安東氏は南部からその領地を奪ったように思われていたが、秀吉が関東の小田原にいるときに南部よりそしてさらに伊達政宗より先に挨拶に行って大名として公認させた。秀吉は小田原攻めが終わって、前田利家・上杉景勝・浅野長政・大谷吉継らを奥州の鎮撫と検地のために残した。前田利家が津軽に来たとき天正18年(1590年)松前(当時蛎崎)慶広はすかさず挨拶にいき、その他の地も転々として他の諸将にもあい秀吉にとりなしをよろしくの挨拶をした。さらにその足で京に上り秀吉に聚楽第で謁見された。これによって、他から攻められることがあれば中央に訴えればいいことになった。秀吉が朝鮮出兵のときは、義務は命じられなかったが、肥前の名護屋城に陣中見舞いに出かける。ここで注目すべきは、秀吉がアイヌの人々を同等に扱うことを命じそれを侮るものへの司法権をあたえた点であった。そのとき家康にも伺候して着用していた蝦夷錦をほめられすぐにそれを脱いで献上したりして知遇をえている。室町時代から、蝦夷地が貿易によって、盛んな経済活動がなされていることは、秀吉にはわかっていたとする。その収益の上前が松前氏ものになっていたこともわかっていただろう。それが天正18年に、公認され、明治維新まで続くのである。ただ、与えられた司法権を悪用する歴史でもあった。
 江差では、榎本武揚が艦長を勤める開陽丸が沈んだことに筆を止め、オランダに留学して幕府がオランダに発注した開陽丸とともに日本に帰ってきた榎本武揚周辺を描いて、さらに江差町が、19世紀の欧州の造船技術を沈めた海を思ってのこれまでの町の姿を描いている。
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コメント
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開陽丸が大時化で遭難したということになっていますが、その様子を見ていた江差の娘さんが、波の静かな日で、浅瀬に乗り上げたのが武士としてかっこ悪いので、、時化だったといったと、孫に話したのを、その孫から私の友人が聞かされたといってました。歴史は都合のいいように伝えられたりもしますよね。
2012/08/23 13:01  | URL | かわぐちえいこう #-[ 編集]
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 本書では、沈没については、おおよそ11ページを使って書かれています。
 それによると、確かに大時化であったようですが、十分に避けられたはずのことが書かれてあります。停泊して時化が来るまでには十分に時間があったこと。気象情報をところの漁師に聞く。あるいは座礁しないよう港湾の測量をする。こういった基本中の基本ができていないための起こるべくして起こった座礁事故のように解説しています。
 この操縦の未熟さの原因については、開陽丸は幕府がオランダに発注して作らせたもので、オランダから教師団をまねき幕臣に学ばせたのですが、その教官代表のカッテンディーケの回想録に武士たちに航海術を教えるのに絶望しているくだりがいくつかあるのだそうです。西洋の貴族と日本の武士の違いに大きく原因があって、西洋の貴族は狩猟やスポーツによって体を鍛え、狩猟で獲物をとってもみずからナイフをとって皮をはいで肉をとり、家族や家来に分けてやる。貴族は庶民よりもつよいというふうにして体を鍛えた。ところが、儒教圏にあっては、体を労して働くことは奴婢のすることなのです。日本では、さほどでもなく剣技や格闘術は武士階級の心得では必須のものでしたが、物を担いだり運んだり走ったりすることは身分にかかわるとしてやはりしなかった。生徒である幕臣が小者を従えてきて身の回りのことをさせ、体で海軍を学ぼうとする心構えがなかった。彼は、当局に真の海軍将校を作るためには14、5才の少年を養成するのがよいと何度も言ったが聞き入れられず幕臣たちは勝手気ままな勉強をしていたのだそうです。なかでは榎本武揚はよく働き、機関科という機械部門では上達するが航海科のほうは使い物にならないという印象を持っていたようです。そんなくだりは漁師見習いのえいこうさんなら何倍も楽しんで読めるのではないでしょうか。
2012/08/23 22:27  | URL | 深山あかね #-[ 編集]
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