『西の魔女が死んだ』
2013/01/29(Tue)
 梨木香歩著 『西の魔女が死んだ』 を読みました。
 直前の『からくりからくさ』の著者、梨木香歩の著書です。
 これもみどりさんにいただいた本です。

 学校に行けなくなった女の子まいは、ひとりで人家から外れたところの広い屋敷に住んでいるお母さん方の祖母のところに行って、しばらく過ごし、その間の祖母との生活から、学校へ行くことを決意するまでの話です。
 祖母は魔女についてまいに話します。
 ≪大昔、人々は皆、先祖から語り伝えられてきた知恵や知識を頼りに生活していたんです。身体を癒す草木に対する知識や、荒々しい自然と共存する知恵。予想される困難をかわしたり、耐え抜く力。そういうものを、昔の人は今の時代の人々よりはるかに豊富に持っていたんですね。でも、その中でもとりわけそういう知識に詳しい人たちが出てきました。人々はそういう人たちのところへ、医者を頼る患者のように、教祖の元へ集う信者のように、師の元へ教わりに行く生徒のように、訪ねていったのです。そのうちに、そういうある特殊な人たちの持っているものは、親から子へ、子から孫へ自然と伝えられるようになりました。知恵や知識だけでなく、ある特殊な能力もね。・・・・・そういうと、とてつもないもののように聞こえますけれど、多かれ少なかれ人にはそういう能力があるんですよ。・・・人より上手に歌が歌えたり、計算が早くできたりする人がいるようにね。≫
 祖母はいつまでも自分の元にいてもいいというが、学校に行けないでいることはできないと、戦闘状態の気持ちでいるまいは、それはできないと言う。それなら魔女修行が必要ということで、まずは、早寝早起き、目標は自分のことは自分で決められるようになる。日課を決めての、家事の手伝い、勉強、そんな生活の中から、自分が学友の中で、どんな気持ちで生活していったらいいかを自分で考えられるようにまで、成長していく。

 この本の終わりに、「解説」があります。読んだ瞬間、こんなすばらしい解説を読んだことがあったかなと思いました。この作品から読み取って感じ学ぶべきことを的確に述べた教育的解説です。書いた人は、この単行本のカバー装画を書いた早川司寿乃という人です。

物語を通して、「死んだらどうなるの?」という素朴な子どもの疑問に答えていく部分があります。解説で、
≪この場面でもうひとつ際立つのは、死が清々しく描かれているということです。今の時代、生は〇、死は☓、というふうにされがちですが、ここでは、生がいきいきと描かれているのと同じく死もまたいきいきと描かれています。・・・魂と魂との間には、隔てる距離や遮る何かがあるわけではなく、とても自由です。≫
ここで使われている魂。心との違いを感じさせてくれそうな物語でもありました。
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コメント
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 この本には、ほんとうに心に入り込む表現がありました。
テレビ化されましたが、ご覧になりましたか。
家に女孫が居ないのが残念な気持ちになった記憶が呼びもどされました。
 上の孫は中高時代には生徒会長など引き受け、登校拒否には陥りませんでしたが、大学を2度変えながら、何かよく説明が出来ないままに登校しなくなりました。今は就職し、働き過ぎかと思う程の昼夜の働きぶりです。
彼の身になり、色々考えるのですが、どうもよく掴めず、今は過労死や過労鬱を心配しております。
子も孫も、友人の青年たちも、とても生きづらい世を生きているのだと感じております。
傍らからじっと見守っているだけの日々ですが、梨木香歩さんの描く世界の柔軟さに、とても安らぎました。
「家守奇譚」も面白いですよ。
たしか単行本ではなく文庫で買ったのですが見つかりません。やはり幻想的な部分が新鮮でした。
2013/01/29 13:22  | URL | みどり #-[ 編集]
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 テレビは残念ながら見ていません。
 どんな人にも、どうしてもなじめないものがあるのでしょうね。
 そのなじめないものに、距離や時間を置いてみることも必要なこともありますが、そのゆとりがないのが現状でしょうか。

 先日広島の私の住んでいる安佐北区でバスケット部に入っていた高校2年生の男子生徒が昨年11月から不登校になり、そのことで祖母から注意を受け祖父母を殺し、身を整えて警察に出頭、自首したという事件がありました。2年前に4年間勤務していた学区のことで本当に驚きました。報道によると近所でも挨拶をよくしてくれたというし、友達も祖父母に大変かわいがられていたと言っているようです。今、その子が何を考えているかわかりませんが、大きな罪を犯したとはいえかわいそうでなりません。

 そんな事件の後だけに、美しいファンタジィーだけでなく、たまにかかわるゲンジさんのことで祖母に叩かれ屈折した関係で別れ母の元に帰っていき、修復できないまま2年後祖母は亡くなってしまう部分が強く印象に残り、祖母の「周りに振り回されるな、動揺するな」という強いメッセージだけが浮かび上がってきました。

 今は、どうしてもなじめないものに距離と時間を与えてやれるような支援だけが私たち祖母にできることかもしれないのかな、そして周りに「振り回されず、動揺しない」後姿を見せるしかないのかなと考えさせられました。

 それにしても、みどりさんと同じ本を読ませていただくことができて、このように気持ちの交換ができることがとても幸せです。この幸せはさらに広がっていきました。
 今の職場になって知り合った、時々勤務してくださる指導員に童話の研究グループに入っておられる方があり、昨日は勤務の日でした。
 この作品のことをお話したら、同じグループの人に誘われて映画を見たと教えてくださいました。とてもよかったと隅々までよく覚えておいでのようでした。
 本も読んでみたいということで、お貸しすることに致しました。
 

2013/01/30 08:45  | URL | 深山あかね #-[ 編集]
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 私の方こそ、心から本好きなあかね様と交流でき、愉しくも嬉しい気持ちを重ねております。
孫持ちとしても少し先輩ですが、心の中を明かしたのは先のコメントが初めてです。私にも見栄があり姉妹は別ですが、周囲の方々に自分の弱みを見せたくないと言うような気持ちがあり、特に孫の事などを人に語りません。
「どんな人にも、どうしても馴染めないものがあるのでしょうね」というあかね様の受け止め方に(あぁ、その通りなんだわ)と彼を追い詰めるような言葉を吐き出さなかった私たち祖父母の態度は間違っていなかったのだと、思えました。
選んだ学校に馴染めず、苦しんでいたのだと改めて思います。
お近くの高校生のニュースは、実に傷ましい限りでした。
学校の重圧で足りず、祖父母からも重圧が続いていたと考えますと、被害祖父母と加害の子との両方に涙が溢れます。
もう少しで「2度も支払ってあげた入学金の有難さ解っているの!」と叱りつけたい気持ちがありました。
甘やかし過ぎたとは思えない育ちですが、彼の行動から鑑み、自らを責める時もありました。
 自分が子育てした時は、遠慮も躊躇いもなく、叱るときは叱り誉める時は誉め、気楽な部分が多かった気がするのですが、孫には一応の距離があります。
 いつも理性的な連れあいの、見守りに疑問を抱いたり、一つ一つ問題を感じる度に、冷静さと堪える気の長さを育てようと試みました。まだまだです。早く結論を得ようとする身勝手さがあります。
 どうぞ、今後共に良きご助言を下さいませ。
2013/01/30 11:21  | URL | みどり #-[ 編集]
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 孫についてはむつかいいものがありますよね。

 その難しさのひとつに、私だけがそう思うのかもしれませんが、日本の社会では(他を知らないので)親権が付きまとうという気がするのです。
 最終的には親が責任を取らされるので、親の責任範疇でしか孫にかかわるべきではないと思ってしまいます。
 親権を持っている親が、子どもの日々の生活のさまざまな雑事を他人にゆだねるという場合の他人になる場合があるわけですが、「子どもの能力に応じての・・・いやその親のさまざまな思いや能力に応じてのかかわりが・・・、」とややこしく考えてしまうのは私だけでしょうか。
 そこで、親が、親権について自覚し、自分たちの能力の可能性をしっかり自覚している場合の、子どもを預かるのは案外楽しいのですが、そうでないときの子どもを預かるのは難しい気がします。
 そうして、さらに、子どもが、親権の範疇を超えるための模索を始める年齢の子どもを預かるのも難しい気がします。

 昔話に、良いおじいさんと悪いおじいさんが出てくるのはおもしろいと思います。
 良いことを考えたから得をする。悪いことを考えたから損をする。そんな世の中でないことは子どもたちは百も承知です。なのになぜか子どもたちはその中から何かを感じ取っていく。
 そんな昔話の経験ををたくさん持っている私たちが、子どもにとって興味の対称でないはずがありません。その役割を果たしていない私たちが、子どもたちをゲームに追い込んでいると、仕事場では感じています。
 子どもはゲームのことをたずねても話はしてくれませんが、自分のおじいちゃんやおばあちゃんの昔の話をするときは問わず語りに目を輝かせているからです。
 
 孫の悩みや苦しみが自らを成長させるような経験になることを祈らずにはおれませんね。
 
 
 
 

 
2013/01/31 11:48  | URL | 深山あかね #-[ 編集]
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