『靖国への帰還』
2013/03/06(Wed)
内田康夫著 『靖国への帰還』 を読みました。
やはり、みどりさんから頂いたものです。
このところ、出かけることが多くて、久しぶりに本を読んだ気がいたしました。
 
 主人公は武者滋。
 彼は横浜工業専門学校の学生でしたが、18年9月10日茨城県の土浦航空隊に入隊し航空隊の基礎教育や技能習得の成績が上位であったため、19年5月に厚木航空隊に配属になります。
 もはや、外地より本土防衛が、重要な任務になっていたからでした。
 19年5月26日、滋は「月光」に乗りB29の大編隊と東京上空で交戦、B29、1機を撃墜したと打電したあと消息を絶ちます。
 平成19年6月16日早朝、厚木基地に正体不明の飛行機が不時着します。それに気を失った滋が乗っていて、基地内の病院に収容されていて気がつきます。
 22歳の若さのままタイムスリップしているのでした。
 最初は軍も秘密にしていたのですが、世間に知れるところとなり、テレビに出演することになります。
 彼は、戦死したら、航空隊であるため遺骨はないが、靖国神社に飛んで帰還するのだと信じて、部下たちともそんな話をしていたのでした。ところが、戦後、靖国は国際問題化し、自分が思っていたような状況ではありませんでした。国のために身も心も捧げ、靖国へ軍神として奉られることを信じながら、散っていった同胞たちの心情を思い、現在の人々の靖国への思いを正そうとテレビで論戦を張ります。しかし、その論戦で自分の甘さを思い、解体して保存をされることになった「月光」を運ぶために自らが操縦することを申し出て許され、それに乗って、飛び立ってまたもや空のかなたへ消えていくという結末です。

 ファンタジー小説的な部分、恋のロマン小説的な部分も面白く読めるのですが、なんといっても、靖国問題の論議が十分に深められている作品だと思いました。

 この論議は、たまたま、3月3日の日曜日、原発事故の被災地から来られた福島市の主婦の方から、いまの福島の現状を聞いたときに、現場から遠く離れて福島の事を思っている私たちと、現地での苦悩との大きな隔たりを知ったのと同じような感じがしました。
 沖縄の問題にしても現地の住民の方々の思惑と、私たちが想像していることとは大きな違いがあり、苦しみの質が違うのではないかと感じさせられたことでした。

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コメント
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 内田康夫さんは「浅見光彦シリーズ」で映像の世界でも有名ですが、此の本は靖国の問題をどう受け止めるか、真剣に考えさせれる内容がありました。
いつもながらですが、此の纏めがたい物語の内容を、一生懸命まとめた深山あかね様には、教えられる処が沢山あります。
私など筋を追うだけで精一杯でした。
2013/03/06 22:41  | URL | みどり #-[ 編集]
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みどりさんのおかげでこの本に出合えました。
 そういえば内田康夫といえば「浅見光彦シリーズ」なのですよね。去年のこのころ耳の手術で入院していて、読む本と言えば、クロアチアの旅行雑誌と推理小説のオンパレードでよく読んだのですが、すっかり忘れていました。(なぜか名前も知らなかったクロアチアのことは今でも町の隅々まで知っているような気分でいることは不思議です。)
 まさかそれらの本と一緒とは思えないほどの後半の靖国問題の深め方で、とても勉強になりました。
 3月3日友達に誘われて初めて民主婦人クラブ?などの原発反対の集会と平和公園周辺デモに参加しました。終始みどりさんや志村さんのことを考えさせられていました。ここでのいろんな人の言動を知って賛同できる部分は大いにあるものの戸惑いを感じ、帰って夫にそんなことをいろいろ話して、やっと自分を取り戻しました。そんな中で、志村さんの一人ででもデモの気持ちがわかるような気がしたのです。そしてそれが本当に勇気ある実践であることに改めて感動したことでした。
 ただ、この集会のあと、広島大学院の学生たちと話し、彼らが非常によく私の感想を聞いてくれたことには参加してよかったという気持ちが残りました。
 彼らは、御用学者を排除せよという強い要求を持って学長を糾弾しているということでした。たまたま広大の学長は三次高校で私の2級上でさらに下宿が隣どうしでした。私の下宿の庭で向かいの下宿の人たちとも一緒にバレーなどをしてをして遊んでいたりしたこともあり、その私生活での彼の人一倍やさしい性格は3軒の下宿のみんなの評判でとても印象に残っています。(このメンバーの中で一番無口だった1級上の男子学生がその後民放のアナウンサーになられたのも意外でした)
 私的な思いは別にして、彼ら広島大学院の学生たちの運動が自己主張に終わっていることが残念です。もっと、道行く人たちに訴えかけ、同じ思いの人が途中からでも加わりたくなるような、そして、自分たちの思いを声にあげて運動してくれている人がいると心を強く希望を持てるような運動のあり方をと話しました。
 これらの活動が活動のための活動にならないよう祈るのみです。
 こんな思いもみどりさんに聞いてほしいと思ってました。

2013/03/07 09:40  | URL | 深山あかね #-[ 編集]
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深山あかね様
 大学院生の抗議ですが「御用学者」は要らないという事、どのようなことで「御用学者」と言われる人格と内容なのか、知りませんが、黙しているだけでは通じませんから、きちんと理由がわかって頂けるようにアピールする必要がありますね。
 3月第一水曜日、定例で「国会周辺お散歩デモ」に参加しました。
折しも国会見学にバスで来た、小学6年生の中から数人が、私たちの手にした「原発反対」の手持ちカードやバックの文字に反応を示してくれました。「原発はんたいだ、原発はんたいだ、原発なんか要らないよね」元気な声が此方へ届き、私も嬉しくなりました。
国会巡りは人数は多くありませんが、機動隊員がそれ以上に配備されています。隊員も職務柄官邸前を歩かせまいとしたりしますが、私たちは「散歩しているだけですよ」と、恐れず歩きます。昨日は都内も気温が上がり、参加者それぞれに気持ち良く歩けました。
 集団で色々運動することも大事です。どちらも迎合して動くのではなく、自分なりの信念なり意思を大事に動きたいものですね。
2013/03/07 18:47  | URL | みどり #-[ 編集]
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 大学院生の主張は、原発の事故による被災が身体に及ぼす影響を過小評価して、テレビに出演したり講演などをしている医学部の○○教授を大学から追い出せ。彼は放射能被爆のことについてはほとんど知識がないのに、とのことだそうです。
 機動隊員の数が、国会巡りの人数以上に配備されているというのは、広島も同じでした。
 しかし私はこのことについては誤解をしていたのでしょうか、ありがたいと思いました。
 何しろ私たちの歩いた通りは、本当に車道も歩道も車も人も多い所で、歩道側の1車線を使ってのデモで、風も強く、大きな旗は2車線の通りを走る車の前面に急にはためく可能性もあり、機動隊の方も必死で注意を促し、そこらあたりでのもみ合いには、交通事故になりそうで、デモする側のマナーが、一般市民に受け入れられるかどうかのほうが気になっていました。さらにこの通りは市本庁にも通じていて、右翼の市庁舎へ対する攻撃もあって機動隊が市庁舎を厳重に取り囲んでいる様子も見かけるときもありますから、この方面からの警護も当然してくださると思って安心しておりました。
 みどりさんがたのように、待ち行く人たちに、支援されるようなデモであったらいいなと思っています。
2013/03/08 10:19  | URL | 深山あかね #-[ 編集]
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