『母さんの樹』
2013/05/12(Sun)
 佐藤貴美子著 『母さんの樹』 を読みました。
 みどりさんにたくさんの本を頂き、順に読ませていただいたのですが、とうとう最後の本になりました。
 じつはこの最期の本こそ、読みすすむにつれ、友人の裁判の応援に携わっている、いまの私たち夫婦にとって、最大関心事であり、力を得ることができる一冊でした。

1961年(昭和31年)全電話労組新潟県支部で中央本部指令による2時間のストライキを指導したことを理由に解雇され、その後組合員をも除名された、24歳の執行委員川島芳子が、その後、職場復帰のための裁判で闘う20年間のお話です。
 東京高裁まで上告し、棄却の結審を受けたところで物語はおわります。

 裁判のための多額の費用をまかなうために、一緒に解雇された森野と、元の職場などの組合員をたよって下着やお茶などの行商をして働きながら、署名集めにも奔走します。その間、結婚もし、2児の母親になり、息子は大学受験の年齢になります。留守番ばかりさせている息子の学校から呼び出しをうけたり、忙しい彼女を支えて家事の大半を受け持つ夫が病気でたおれたりと、家庭の悩みも人並み以上にあります。そんななかでも戦いをすてない彼女たちの心意気と辛抱強さに感動して、何とか応援したいという田中の提案を受け、彼女の戦いをテーマにした組曲をつくってもらい150人の大合唱団をつくり公演する計画をたてます。何度か挫折の危機を迎えながらも、その公演が大成功をおさめます。ひきつづき日本の各地を公演することにもなってゆきました。その組曲を作詞した詩人の滝いくこがこの組曲につけたタイトルが「お母さんの樹」でした。このタイトルが、彼女の日々の長い苦しみを超えて歩む姿にとてもぴったりです。
 この滝いくことは、どこかで最近聞いたような、そうです前の記事の『ちひろの愛と絵筆』そ著者でもありました。

 この物語にもありますが、以前から、どこの町に行っても、その地域のもっとも大きなビルのひとつが電電公社で、そのようなりっぱなビルに勤めている女性職員がそんなひどい職業病に冒されているとは一般には想像しにくいことです。この本を読んではじめてその実態にもふれ私も驚きました。自分の経験からでしか人の苦しみや悲しみを感じることができないのであればこそ、世の中のいろんな人の体験に耳をかたむけなければならないことを感じさせられ、その苦しみを自分の事とする力を持たなくてはいけないと感じさせられた一冊でした。


スポンサーサイト
この記事のURL | 未分類 | コメント(3) | TB(0) | ▲ top
<<『銀の林』 | メイン | 『ちひろ 愛の絵筆』>>
コメント
-  -
あかね様
 よくぞ読んで下さいました。
誰も読んでくれそうにもない本ばかりでしたのに、捨てずに読んで下さった上に、全て読後感を記して下さったお気持ちが嬉しく、おかげ様で、とうに薄れた読後感も甦りました。
娘や孫が、もっと多くの本を読んでくれるといいのですが、殆ど期待しておりません。又一箱お届け致します。
こちらの都合で真に押しつけがましいのですが、処分するには惜しく、本当に本好きな方に読んで頂けたら本も喜びます。
「これは、どうしても読みたくない」と思われましたら、ご面倒でも廃棄なさって下さいね。
私も、あかね様に見習い読後感を記そうと思いながら、今年も読み捨ての怠惰さから抜け出せません。それと本を読むことが少なくなりました。
 ご夫君の活動が、ご友人のみならず多くの被害者への大きな支援につながっていると信じます。ご夫妻共々元気でお過ごし頂きたいものです。
2013/05/14 20:58  | URL | みどり #-[ 編集]
- みどりさん -
みどりさんの読まれた本を読ませていただき、ふと、みどりさんと二人で読んでいるような気持ちになっていたりして感慨深い体験でした。
 読む本を自分だけで選ぶのですから仕方ないと言えばそうなのですが、知らず知らずのうちに偏った人間になっていっていた自分も発見できました。
 『お母さんの樹』などもまさしくその一例で、電電公社の解雇裁判と言っただけで自分で選ぶとなると手に取らなかったような気がするのです。
 みどりさんが時々ブログに書いておられる運動のお話も少しずつリアルに考えられるようにもなりました。
2013/05/14 23:19  | URL | 深山あかね #-[ 編集]
- みどりさん -
 本、楽しみに待たせて頂きます。 
2013/05/14 23:30  | URL | 深山あかね #-[ 編集]
コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top
トラックバック
トラックバックURL
→http://yamanbachindochu.blog106.fc2.com/tb.php/574-0a4f34f5

| メイン |