『東海道五十三次』
2013/08/30(Fri)
 岡本かのこ著 『東海道五十三次』 を読みました。


 みどりさんにいただいた『一平 かの子 心の生きる凄い父母』に触発されて、かの子の作品を読んでみたくなりました。岡本太郎が『東海道五十三次』を評価していたので、まずはこれからと思ったのですが、読みかけてこの作品の倍のページを割いた瀬戸内晴海の解説を先に読んでしまい、発表順がよかったかなとも今思っています。
 太郎は内容には触れていませんが、瀬戸内晴美がこの作品について書いているところの一部を書き写して読後の記録にしようと思います。
 ≪「東海道五十三次」は、かの子の傑作のひとつといっていい作品である。人の人生でなにかに魅入られるとい うことほど、生きがいのある、そしてまた切なく苦しい悲しい経験はないだろう。対象が人であれ物であれ、魂 をしぼりあげられるほど魅入らされる喜びもまたこれ以上のものはない。ことにその魅力を持つ相手が「旅」と いう捕らえがたい非情のものである場合、魅せられた方の魂の憧れは、行けども行けども、涯しもなく、いつ果 てるとも定まらない。報いられることのない恋に現を抜かしているような無償の情熱が旅では孤独にしかも豪華 に霧散させられる。この作品は東海道に憑かれた作楽井という男の生涯が描かれ、その不思議な無償の情熱の透 明な美しさが過不足なく描かれている。
  平凡で幸福な一穀物商だった男が三十四歳のとき、ふと商用で東海道へ足を踏み出したのがもとで、病みつき になり、生涯を東海道の旅ばかりに暮らし、妻子に見放され世間からも落ちぶれ、ひっそり死んでゆくといった 奇矯な漂泊者作楽井の旅への情熱は、読後も妙に読者の心にまつわりついて離れない。<奥さん、東海道という ところは一度や二度来てみるのは珍しくて目保養にもなっていいですが、うっかり嵌まりこんだら抜けられませ んぜ、気をつけなさいまし>・・・・≫ 
と、東海道の魅力を語る部分をかなり丁寧に引用している。そして、かの子のこの作品に一平がどのようなかかわりをしたかを、一平の解説と、美術学校時代から東海道に興味を寄せていた一平が、漫画会の一行で五十三次自動車旅行をしたり、その作品の序文を書いたりして、それらの作品との関係を語っています。
 瀬戸内晴美の解説は、岡本かの子がパステルカラーで書いているものを、彼女が原色でデフォルメしたように思える解説でやっぱりすごいなと思いました。
 ※この解説を書いた時はまだ瀬戸内晴美でした。
スポンサーサイト
この記事のURL | 未分類 | コメント(0) | TB(0) | ▲ top
<<『鶴は病みき』 | メイン | 『一平 かの子 心に生きる凄い父母』>>
コメント
コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top
トラックバック
トラックバックURL
→http://yamanbachindochu.blog106.fc2.com/tb.php/601-cf42fa50

| メイン |