『白蓮』娘が語る燁子
2013/11/25(Mon)
 聞き書き宮嶋玲子 『白蓮』娘が語る燁子 を読みました。

 この書もみどりさんからいただきました。
 この書のできたいきさつがかわっていると思います。
 白蓮は3度結婚するのですが、白蓮が2度目の結婚で「石炭王」といわれた伊藤伝右衛門のもとで10年足らずをすごした九州の飯塚市が、九州観光推進機構が広域観光ルートの第一号に白蓮と伝右衛門のゆかりの地であるということで選んでいただいたので、まずは白蓮の娘の蕗苳(フキ)に白蓮についていろいろ聞いて白蓮をこの書によってよく知ろうということのようです。
 蕗苳にしてみれば、自分は伝右衛門との子ではなく、白蓮が新聞に伝右衛門への絶縁状を掲載して別れ、そのあとの結婚によって初めて幸せを得たと白蓮が口にしていた宮崎龍介との間にできた娘です。思い出といっても宮崎家のことしかないだけに、飯塚市民のかたがたに受け入れていただけるだろうかとの気持ちがあったようですので、意外な申し入れというほかありません。
 しかし、いまは寂れてしまった筑豊の町おこしのためにと快諾。当時、すでに保存されることが決まった伊藤伝右衛門の屋敷が、その修復を終えたら、町おこしに役立つのであればと白蓮の遺品を必要に応じて展示することも快諾しています。

 大正天皇の御生母を叔母に持つ華族の白蓮。1885年(明治18年)生誕から亡くなる1967年(昭和42年)までの81年の生涯、なかでも宮崎龍介との結婚によって、龍介の父、宮崎滔天と孫文との親交で、中国の革命にも深くかかわりを持つことになります。以後、日中の交流に実質的にかかわっていき、失敗にはおわるものの盧溝橋事件からの日中事変へと軍部の進行を止めるために、蒋介石に懺悔の気持ちを伝える役割を背負って龍介が南京に出かけるというくだりなど、とても興味深い場面を読むことができました。
 また、つながりのある人たちに、有名な方が多く、読みすすむごとに目を見張るものがありました。白蓮の葬儀委員長の片山哲をはじめ、姉の嫁ぎ先が、昭和天皇の侍従長入江為守、母親の兄嫁の実家が樺山伯爵。生涯の友人になったのが村岡花子で、奉仕活動では賀川豊彦が先生であったりします。そして短歌は佐々木信綱に師事し、文化人との交流では、高浜虚子、吉井勇、倉田百三、菊池寛などの名前があがっています。龍介の母宮崎槌子の姉、前田卓子は夏目漱石の『草枕』のヒロイン那美さんのモデルといわれているとのことです。印象に残ったのは生涯の友人であった九条武子についてです。「人というものはどうかすると自分の幸福を忘れていることがある。幸福だということを忘れれば幸福にはぐれてしまうということを教えられた。私は何とあの方に感謝していいかわからない。」といっています。これを読んだ私も、この大切な言葉に出会わせてくださったみどりさんに感謝します。
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コメント
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公共工事の件で、ご主人にコメントを入れているのですが、届かないようです。お伝えください。
2013/11/26 15:09  | URL | かわぐちえいこう #-[ 編集]
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 丁寧な読み込みをなさっておりますね。
友人の女性が「白蓮展示会」が全国展開された折に、何をどのように展示するか企画指導した方でした。駒場に在る日本近代文学館で長く働いていた方で、その豊かな感性と文学的知識の豊富さには、いつもご教示いただくばかりの私でした。
この「白蓮展」には1度は一人で出かけ、2度目は花てぼ様をお誘いした記憶があります。直筆の恋文など内容が強烈で、感動的でお見せしたかったです。
白蓮が伊藤伝右衛門と離婚するには大きな試練がありましたが、豪勢な暮らしを捨てて再婚した男性とは、心から信頼しあい、慎ましくも子どもを愛しながら夫婦としての暮らしを作り上げました。
「白蓮」を林まり子さんが分厚い単行本、著書にしておりますが、こちらも機会がありましたらご一読をお勧め致します。
 余談ですが、しばらく更新がありませんでしたので、昨夜はとても気になりました。これまでも気がかりではあったのですが、昨夜の強風が何故か、あかね様の体調不良を告げているように感じられ、お便り差し上げようか・・・等と思案が募りました。
 気持ちが通じるのでしょうか。
久々に、こうしてお元気な書き込みに出会え、とても嬉しく思います。
少し、気持ちがへこんでおりまして、気怠さに負けておりましたが、私も頑張って暮らそうと思い直すことが出来ました。
 ご夫君共々お元気でお過ごし下さいませ。
2013/11/26 17:23  | URL | みどり #-[ 編集]
- えいこうさん -
伝えました。
2013/11/26 21:57  | URL | 深山あかね #-[ 編集]
- みどりさんへ -
 元気でやっています。
 みどりさんの健康とそのことへの落ち込みのほうを心配しています。
 このところなかなかブログにかかわれない日もあったのですが、そんなことはよくあることですよね。じつは読書の迷子になっていたのかもしれません。一人勤務が多くて、遅刻してはいけないと、本を手にずいぶん早めに出勤したのがいけませんでした。読めないばかりか何度も本を職場に忘れて帰りました。開き直ってテレビを見ると特別秘密保護法案のやりきれない報道で、暗い気持ちになってばかりです。本を読んでいるより行動を起こさなくてはと辛い気持ちになっています。みどりさん、志村さん、花てぼさんに活動をお任せしているようで心苦しいです。

 みどりさんにいただいている本を読んでいると、どういういきさつでこの本を手に入れられたのかなどと思うことも一つの楽しみです。地方では出会えないものに多く出会っておられるブログなどを拝見すると、私はみな「昔々あるところに・・・」のはなしを読んでいる気分で楽しませていただいていますが、みどりさんは隣町の身近な人の2,3代前の人のことを読んでいる気分になられるのではないかとおもいその本へのかかわりの深さを感じ、その思いを少しでも味わえればと思います。  
2013/11/26 23:08  | URL | 深山あかね #-[ 編集]
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