『寺田寅彦随筆集』第五巻
2014/07/03(Thu)
 小宮豊隆編 『寺田寅彦随筆集』 第五巻を読んでいます。
 たまたまほかの本を探していて目に付いて読み始めました。
 家事の合間にたまたま開いた部分の随筆を読み漁っていたのですが、昭和9年11月に書かれた随筆で「天災と国防」の部分で、この記事を何としても書かずにいられないという気持ちになって、PCの前に座りなおしました。
 災害は忘れた頃にやってくるとは寺田寅彦の言葉だったと思いますが、忘れていなくても覆いかぶさってやってくることだってあります。
 寺田寺彦は、この随筆のなかで、
 ≪戦争はぜひとも避けようと思えば人間の力で避けられなくはないであろうが、天災ばかりは科学の力でもその襲来を中止させるわけには行かない。その上に、いついかなる程度の地震暴風津波洪水が来るか今のところ容易に予知することができない。最後通牒も何もなしに突然襲来するのである。それだから、国家を脅かす敵としてこれほど恐ろしい敵はないはずである。≫と述べています。
暴風洪水など、昭和9年に比べれば、相当予知できるようになったのは周知の通りです。しかし、
 ≪文明が進めば進むほど天然の暴威による災害がその劇烈の度を増すという事実である。・・・・二十世紀の現代では日本全体が一つの高等な有機体である。各種の動力を運ぶ電線やパイプやが縦横に交差し、いろいろな交通網が張り巡らされている有様は高等動物の神経や血管と同様である。≫昭和9年に比べればこれらの傾向はそうとう顕著で、制御不能な原発まであるのです。
 ≪日本はその地理的の位置がきわめて特殊であるために国際的にも特殊な関係が生じいろいろな仮想敵国に対する特殊な防備の必要を生じると同様に、気象学的地球物理学的にもまた極めて特殊な環境の支配を受けているために、その結果として特殊な天変地異に絶えず脅かされなければならない運命のもとに置かれていることを一日も忘れてはならないはずである。≫と、警告しています。
 ≪人類が進歩するに従って愛国心も大和魂もやはり進化すべきではないかと思う。砲煙弾雨の中に身命を賭して敵の陣営に突撃するのも確かに貴い大和魂だが、○国や△国よりも強い天然の強敵に対して平生から国民一致協力して適当な科学的対策を講ずるのもまた現代にふさわしい大和魂の進化の一相として期待してしかるべきことではないかと思われる。≫と、提言しています。
 現代において、天災は当時の寺田寅彦が憂える規模どころではない脅威です。なにしろ、今の科学技術では半永久的にどうにもならない原発が国土のあちこちにあるのですから。
安部総理大臣がこのような待ったなしの天災にくわえ原発のことまで考えたら、怖くて政権など握ってはいられないでしょう。でも、一国ではこれも怖いので、集団的自衛権と武力行使容認などと国民の関心を、○国や△国などの仮想敵国に向けてすましているのはどうでしょうか。本来なすべき努力を怠っているのは本当に情けなく悲しいことです。
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