『たけくらべ・山椒大夫』(1)
2014/08/31(Sun)
 講談社の少年少女日本文学館1 『たけくらべ・山椒大夫』 の中に収録されている小泉八雲著・平井呈一訳 「耳なし芳一」・「むじな」・「雪おんな」を読みました。
 子供向けの図書でありながら、平井呈一の訳が使用されていることが以外です。
 手元に上田和夫と田代三千稔の訳がありますが、子どもにわかりにくい表現の訳はこの平井呈一の訳です。今のところ、平井呈一訳の『怪談』が手に入りそうにないのでわたしにとっては貴重です。
 ここでは、高杉百合子・梅田千津子による、読書指導のしおりを書き取りました。
 ≪鴎外が西洋文学に学び、近代思想を深く身につけたのとはぎゃくに、小泉八雲は西洋文明に毒されない「日本の心」を、外国人という新鮮な目で見出そうとした文学者です。39歳のとき、アメリカの記者として来日、その後、松江中学の英語教師となります。近代の西洋文明を好まなかった彼は、母親の血筋ということもあって、東洋に関心を持っていました。
 そして、日本に興味を抱き日本の風物・人情に魅かれて、深く日本を愛するようになります。「明治」という近代化の進むなかで、忘れ去られようとする「日本の美」「他民族にはない日本人のやさしさ」を愛し、小泉セツと結婚、日本に帰化し永住するのです。繊細な感受性を持ちロマンチストだった八雲は若いときから、さまざまな不思議な物語や怪談話が好きでした。日本に来て、各地に残る民話伝承や古い文献を通して、多くの怪異譚を知り、ひじょうに喜んだといいます。
 それらの原話に手を加えて、叙情性あふれる文学作品にまとめあげたのが『怪談』です。
 なかでも「耳なし芳一のはなし」は『怪談』を代表する作品です。赤間が関の琵琶法師芳一が平家の怨霊に魅入られ、亡霊に耳をかきとられるという話です。しかし、ただ、気味の悪い魔性のものを描くというだけでなく、滅びていったものの哀れさや登場人物の心理などが、巧みな構成、表現であらわされています。
 『雪おんな』は、恐ろしいなかにも妖しい美しさが漂っています。印象に残るのは、『雪おんな』のお雪です。巳之吉の妻となって十人の子どもを産んだ末、巳之吉のもとを去るとき、子どもへの愛情ゆえに彼を許し、悲しく別れていきます。ここには、八雲が幼いころ別れた母への愛情や、女性への憧憬がこめられているようです。
 『むじな』は、人を化かすと信じられていた動物です。二重の驚きに心臓もちぢみあがったであろう商人の顔が、目に見えるようではありませんか。
 一つ一つの作品の異なったおもしろみをよく味わってください。≫

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