『猟銃』
2007/12/14(Fri)
井上靖の『猟銃』を読む。

河出書房の日本文学全集39の『井上靖』でこの『猟銃』を読んだ。
この全集の何冊か自前で持っていて、若いころ読んだはずだが、文字の大きさのせいか、
行の間隔のせいか、文字の字体のせいかとにかく読みづらい。
最近は本の内容の良し悪しと平行して読みやすさが気になる。
これも偏に年齢のせいかなとも考える。
そのこともだんだんわかっていて図書館で探したが、井上靖の本そのものが見つからない。やっと公民館で見つけて借りてきた。
活字の大きさなど言っていられない。

難儀しながら読んだ小説である。

内容は、日本猟人倶楽部の機関誌に掲載した詩を読んだ読者から、その詩に描かれている男性は自分ではないかと思われる、という手紙を受け取る。

三杉穣介という男性からそういった手紙をもらいさらに、
≪突然変な事を申し上げてご不審に思うかも知れないが、私は今ここに私宛ての三通の手紙を持っている。私はこれを焼き捨てるつもりであったが、御高作を拝見して貴方という人物を知り、ふとこの手紙をあなたにお見せしてみたい気持ちが起こった。≫
と三通の手紙が送られてくる。
小説はこの三人の女性からの三通の長い手紙によってほとんどが成り立っている。
構成としては夏目漱石の『こころ』を思い起こさせる。

言ってみれば、三杉穣介という身勝手な男性によって翻弄される女性たちの手紙である。
それぞれの人間の持っている、不幸を予感しながらも悪をなすというどうしようもないものに惹かれる心性といったものを描いているような気がする。
それを一人一人が持つ「蛇」という表現で象徴的に描いている。
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