『日本の怪談』(1)
2014/10/20(Mon)
 池田雅之著 『日本の怪談』 角川文庫2005年出版 を読みました。

 ハーンの怪談と奇談のすべてかと思える数、42篇が収録されています。
 5月から、ハーンに関する本にずいぶんふれてきていると思っていたのですが、一部分の16篇しか読んでいませんでした。今まで読んだことのある作品でも、いぜんよりよりすんなりと読める感じがしました。その原因が、最後の「あとがき」を読んでわかりました。
 《小学校の上級生や中学生でも十分楽しめるように、平易な訳文を心がけ、むずかしい漢字にはできるだけルビをふってあります。低学年の子供には、先生方や父母の方がじかに朗読していただければと思います。訳者の私は、朗読にも堪えうるよう、声を出しながら翻訳をしましたので、朗読用のテキストとして活用して頂ければ、こんな嬉しいことはありません。》と述べられています。
 このように書かれたことに誰よりも喜んだのでは、ハーンではないでしょうか。著者は、ハーンがいろいろな時代を超えて伝えられてきたこのようなお話が、未来に向けても時代を超え、ところを超えて伝わっていくことを望んでいたことをよくご存知だったからこのような作品が出来上がったのでしょう。
 怪談や奇談はジャンル別に6章に分かれていますが、第六章の「妖怪のうた」を引用しておきます。

火ともして 狐の化けし 遊び女は いずこの馬の 骨にやあらむ
狐火の 燃るにつけて わがたまの 消ゆるやうなり 心細道
離魂病(りこんびょう)
こやそれと あやめもわかぬ 離魂病 いづれを妻と 引きぞわづらふ
二つなき 命ながらも かけがへの からだの見ゆる 影のわづらひ
長旅の 夫をしたひて 身に二つ なるは女の さある離魂病
見る影も なきわづらひの 離魂病 思ひのほかに 二つ見る影
離魂病 ひとに隠して 奥座敷 おもてへ出さぬ 影のわづらひ
身はここに 魂は男に 添寝する 心もしらが 母が介抱
たまくしげ 二つの姿 見せぬるは 合わせ鏡の 影のわづらひ
大蝦蟇(おおがま)
目は鏡 口はたらひの ほどにあく 蝦蟇も化生の ものとこそ知れ
蜃気楼
蛤の 口あくときや 蜃気楼 世に知られけん 龍の宮殿
蜃気楼 龍の都の ひながたを 潮干の沖に 見するはまぐり
雪女
雪女 よそほふ櫛も 厚氷 さす笄や 氷なるらん
本来は 空なるものか 雪女 よくよく見れば 一物もなし
夜明ければ 消えてゆくへは 白雪の 女と見しも 柳なりけり
雪女 見てはやさしく 松を折り なま竹ひしぐ 力ありけり
寒けさに ぞっとはすれど 雪女 雪折れのなき 柳腰かも
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