『楼蘭』
2007/12/17(Mon)
井上靖の『楼蘭』を読む

この作品も河出書房の日本文学全集の中に収録されている。
文字も小さく、ページによってはインクが薄く読みにくいので閉口した。

≪往古、西域に楼蘭と呼ぶ小さい国があった。楼蘭が東洋史上にその名を現して来るのは紀元前12・30年頃で、その名を史上から消してしまうのは同じく紀元前77年であるから、前後僅か50年程の短い期間、この楼蘭国は東洋の歴史の上に存在していたことになる。いまから二千年程昔のことである。≫

という出だしで始まる。
いわば、『楼蘭』は実在はしていたが幻の国名といっていい。

このような国が誰も足を踏み入れることの出来ないような砂漠地帯(現在の中国新疆省)に存在したことがわかるのは、漢の武帝が、長い年月匈奴に苦しめられていたために同じく匈奴に苦しめられている大月氏と組んで匈奴を打つ計画を立てることから始まる。

この、砂漠地帯には多いい時には50余国のがあった。
タリム川が注ぎ込むロブ湖のデルタ地帯に出来上がった漢に一番近い国が楼蘭だった。

漢は楼蘭国を通ってもっと西の国々と協力して匈奴を破り交易をするようになった。
楼蘭国がそういった漢の部隊を見るようになってから3年の後、漢から使者を受けた。
漢から楼蘭国を通る部隊に食料と水を補給するよう命令を受ける。
しかし、抗する事が出来ず言いなりになり大変な思いをする。
ところがそこへ匈奴がやってくる。漢もやってくる。匈奴がやってくる。といったことで、匈奴にも、漢にも隷属することを余儀なくされるのである。
そうして、国が存在する間中、漢と匈奴両国の力関係と両国の国情に翻弄される。
何人かの王は漢と匈奴両国への気使いのため心労で早死にするという有様である。
ついには、国は魏の都県同様に扱われるようになり国は消滅するのである。

≪しかし、西紀1900年スエーデンの探検家スウェン・ヘディンの手によって、砂漠に埋もれた昔の都楼蘭は、突然千何百年ぶりかで地上に姿を現すに至った。≫

砂漠は、湖の形を変え場所を変えそれによって人間も住まいを移動したり都も埋もれてしまったりと、そこに繰り広げられる歴史的な出来事も跡形もなくなったり、また現れたり、地球上には私たちには想像できかねる地域があるということを淡々と語っている。



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