『ラフカディオ・ハーン再考 100年後の熊本から』 2
2015/09/08(Tue)
2 「女王の都市」の新聞記者   小平 直行 (熊本大学教養部講師)

 「女王の都市」とは、ハーンが1869年から1877年までの8年間を過ごしたアメリカのシンシナティのことです。ここでは、ハーンの19歳から27歳までの8年間のシンシナティの歴史と社会、そしてその間の彼の著作などの活動について語られています。
 シンシナティは連邦の中では最も美しい内陸都市であるといわれた風光明媚であるために「女王の都市」と呼ばれたのです。
 アメリカ合衆国が現在の領地になるまでの過程が私にはよくわからないので、この説明が充分に理解できませんが、とりあえず1820年代後半から著しい興隆を遂げ合衆国第三位の工業都市になったということです。それは、入植者の流入とオハイオ河と南へのミシシッピ河への蒸気船導入によって支えられたようです。工業の繁栄にも支えられて、芸術家、音楽家、作家なども集まってきました。ところが、1869年の大陸横断鉄道の開通によって、シンシナティの凋落が始まったのです。
 回想に「19歳の年に、私は一文無しで人生を始めるために、アメリカのとある都市の歩道に放り出されていました。苦しい目にあいました。道端で眠ったりしたこともしばしばでしたし、召使、給仕、印刷屋、校正係。雑文屋として働きながら、少しずつ這い上がった。アメリカには、貧しくとも勤勉な者には、ほかの国でかって示されたことがなかったようなチャンスがあった」と書いていると紹介されています。
 「王の牧歌」の原稿をシンシナティ・インクワイヤラー社の編集長ジョン・A・コカリルに見てもらい、インクワヤラー紙への寄稿を許されるようになり、『インクワヤラー』きっての花形記者となります。しかし彼の関心は、自らもその一員であった都市下層民衆の日常生活へと移りました。『アンクル・トムの小屋』はこのあたりのこの時代が舞台の作品だとあるので、手にすることができれば、読み返してみたいと思いました。

3 文学者ハーンとアメリカ    里見 繁美 (熊本大学教養部助教授)

 シンシナティからニューオリンズ・マルチニーク島での、おおよそ20年間のアメリカでのハーンの作品と、アメリカの文学者への彼の評価について述べられています。
 アメリカにおけるハーンの著述としては、翻訳、小説、再話文学、紀行文、アメリカにきて最初に出版したものはフランスの作家のゴーチェの『クレオパトラの一夜その他』で、当時アメリカに出回っていたひどい翻訳本に対する見本の提示でもあったと述べられています。小説は『チタ』と『ユーマ』の2作があり、これについては本人も出来が悪いと自覚し、小説については限界を感じていたのです。再話文学では『飛花落葉集』・『中国怪談集』を出版し、以後の才能の発露を見出したようです。紀行文も4冊出版しています。
 アメリカ文学では、浦島太郎と類似した作品を書いたワシントン・アーヴィング。最も影響を受けたエドガー・A・ポー。「道徳意識」をそなえたナサニエル・ホーソン、彼の作品『ラパチーニ』では「想像性」を高く評価をしています。最大の評価はリアリスティックでありながら非凡さを失わないヘンリー・ジェイムズに与えています。
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2015/09/09 16:08  | | #[ 編集]
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 入院されたのだろうと思ってました。
 毎日祈っておりました。
 徐々に元気を取り戻されそうで何よりです。
 無理なさいませんように。

 夫もあさって安佐市民病院を退院するのですが、1日に入院しました。こちらはいない間に家がきれいになりました。さっきも仕事から帰ったよと連絡すると、料理を持ってきてくれた友達が家がきれいになったねと言ってくれました。昨日もう一人の友達は、あなたも勤務が激務でくたびれきっていたから、お父さんが入院していてすこし、身体が休まったんじゃないといってくれました。ほんとにそうかもしれないとも思いました。明日からは、仕事はあるし、国勢調査を少し頼まれているし、夫はいるしで、またもとの木阿弥になりますが、「汚い家でも元気ならいいか」の毎日がまた始まります。
2015/09/09 20:22  | URL | 深山あかね #-[ 編集]
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