『宮本武蔵 五輪書』
2016/04/10(Sun)
 魚住孝至編 『宮本武蔵 五輪書』を読みました。
 実家にあった吉川英治の『親鸞』を読み、NHKの大河ドラマで『新・平家物語』を見て、吉川英治の作品を次々と楽しんだのは、20歳代前半でした。もちろん『宮本武蔵』もそのころ読みました。
 この本では、吉川英治の『宮本武蔵』は吉川英治も述べているように登場人物もほとんど架空のものだと説明されています。
ここでは、近年みつかった武蔵の自筆の書状や確認された著作、養子伊織の資料、関係した藩の資料などでかなり明らかになった実像をよく知って、『五輪書』の理解を深めようと大づかみの経歴が「はじめに」で紹介され、さらに巻末では略歴年譜が添えられています。
 1600年、「関が原の合戦」のときが19歳で、21歳のとき上京、諸国武者修行に出て、29歳まで合計60以上の勝負をして負け知らずでした。武蔵は激動の時代を生きて、以後も「なおも深き道理」を追求しました。戦乱の世、戦闘が拡大化した戦国時代から、全国が統一されて合戦がなくなり、士農工商の身分制度が確立され、武士が支配層になり刀と剣術の素養がその象徴となっていく時代に、後の武士のためにこの『五輪書』を書き残し64歳でなくなったということです。
 『五輪書』は、地・水・火・風・空の五つの巻きで構成されています。
 地の巻は、『五輪書』全体の序、目次、兵法とは何かを全体的に示し、結びがあります。そのあとで、地・水・火・風・空の五つの巻きで兵法について詳しく論じていきます。ここでは、二刀一流にするのは、実戦では使えないことも多々あるが、この訓練を行うことによって、左右とも片手で太刀が使えるようになる利があり、返ってそれが実戦に大切だということが理解できます。
 水の巻では、「兵法の道」の核となる剣の術利を論じています。
 火の巻では、1対1の兵法から、大人数の合戦の理を述べています。
 風の巻では、他流の道を論じています。
 空の巻は、『五輪書』の結びとなる巻ですが、、「空という心は、物事のない所、知ることのできない事を、空と見立てるのである。もちろん空はないものである。「ある所」(個々の具体的な理)を知って、(具体的には捉えられない)「なき所」を知る。これがすなわち空である。
 これらのことを修練するに当たって、すべて、現実の役に立つように学ぶことを強調しているのが印象的でした。
 武士階級が解体された明治以降、武術の近代化は、加納治五郎によって柔道が先導し講道館柔道として始まり、その教育的価値によって普及させ、剣術は幕末すでに競技的になっていたものが武徳会によって残ったとあります。
 いま、『五輪書』を読むことの意味については、専門の道の追求の仕方をきわめて明確に書いているので、自分の専門の道にひきつけて、その徹底性に学ぶことの有益が述べられていました。
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