栴檀(センダン)
2016/06/02(Thu)
 仕事への途中とおくに、ぼやっと薄むらさき色の花をつけた背の高い木が、3、4本みえます。
 きになって福王寺への裏山散歩のとき、水野さんご夫婦にたずねてみました。「さーて、なんじゃろう。」いつもはすぐに調べてくださる水野さんですが、何のコメントもなく数日が過ぎていきました。ところが、今朝、他の木について調べていて、ぐうぜんその木が栴檀であるということが分かりました。
 センダンの説明にこのような興味深い記述がありました。
 《こぼれ話 「獄門台」明治36年刊行の「大日本有用樹木効用編」に「この材は古来罪人を梟首するに用いし故にこの材を用ゆることを嫌う人多し。罪人の首をこの木に掛けし事は源平盛衰記などにあり」としている。斬首処刑された首を晒す、いわゆる獄門台の材として用いられたそうである。そこからセンダンを庭に植えるのを嫌う人もいるという。
なぜそのような習慣がうまれたかについては、南方熊楠が新聞に連載した「紀州田辺の生物」という随筆のなかで説明している。 「日本では梟首に使われて悪木とされるが、インドではこの木に邪気を払う力があると信じられている。この俗信が中国を経て日本に伝わり獄門台に使われ始めたのだ」という。
 センダンの樹皮は駆虫薬としても使われることもあるので、晒された生首にたかる虫を追い払う効用もあったのかもしれない。ただ元々は南方の木であり、江戸時代以前に京、大阪や江戸で大きな材が採れたのか疑問に思う。右の絵は「徳川幕府刑事図譜」にある獄門の図。首の置いてある台が獄門台で、大きさやその作り方が決まっていたようだ。徳川幕府刑事図譜は明治26年に刊行された本で、徳川時代の刑政を批判するために作られた。同図譜はカラー版もあるが生々しい。本絵図は白黒絵となっている。さらし場には斬首の前の引き回しの時に使用された道具や捨札、幟(のぼり)が立てられている。》(写真は省略)いずれ、水野さんにもお話しようと思います。
 ところで、私が水野さんに、4月初めの頃、貯めていたかまぼこ板とヒートンや針金をお渡ししておいたら、以後、福王寺参道の樹木に名札がつけられるようになりました。もちろん20枚くらいのかまぼこ板では足りるはずもなく、今ではラミネーターで作った名札もずいぶん増えてきました。私の思いに応えるべくラミネーターまで買われたのかとたずねてみたら、池田さんが自宅にあるラミネーターを、一時的に水野さんに預けられて、それで作られているとのことでした。池田さんはラミネーターフィルムの費用を援助していただくよう役所に掛け合ってくださったのだそうです。
 水野さんは、私の肩をたたいて、「あなたのあのかまぼこ板のせいで、大変なことになったよ」とおっしゃいました。
 もちろん、樹に取り付ける作業は大変です。そばにいる人は誰であれ手伝います。名前には間違いがあってはいけないと、水野さんはとことん調べ、正確な名札が一枚づつ増えていきます。
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コメント
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 時々ですが、樹木の多い公園へ出かける折に、樹木に名札があればいいのにと思っていました。
あかね様たちの取り組みは、こうした要望への良き提案だったと思います。栴檀の木には覚えが有りますが、そのいわれを初めて知りました。
 疎開していた頃、母の一番下の叔父の家が近くにあり、その庭に栴檀の木があり、よく男の子の友だちと上りました。魔除け虫除けになると聞いて育ちましたが、全く逆に流布していた言い伝えもあったのですね。叔父も叔母も亡くなり従妹の家族がおりますが、今では行き来がありません。広い畑の一部を売ったという話を聞いていますから、その栴檀の木もなくなっているかもしれません。
記事を読ませて頂き、忘れていた疎開先の思い出が蘇りました。小学校3年の一学期を終えて横浜市鶴見区の生家へ戻り、転校したのですが、戦後の学校生活など今もありありと浮んできます。
 本の感想なども常々感嘆しておりますが、こうした日常の中のふれあいを読ませて頂くのも、心和みます。
2016/06/03 17:52  | URL | みどり #-[ 編集]
- みどりさんへ -
魔除け虫除けになるというのは正しくて、だからこそ、このような使われ方をしたということのようです。
 シキミ(梻)も、お墓などにお供えしますが、有毒で、昔は土葬等にしたので、有毒なものを周りに供えて、獣をよけたと語られる人もいます。
 人間にとって、植物の特性を生かすことで文化文明が発達した時代が長かったので、それを知ることで、昔の人々の暮らしを想像してなつかしがるのも山歩きの楽しみです。
2016/06/04 10:44  | URL | 深山あかね #-[ 編集]
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