『コンビニ人間』
2016/08/12(Fri)
 村田沙耶香著 『コンビニ人間』を読みました。
 120回芥川賞受賞作品『日蝕』を読んで、夫が買っていた今年の第155回芥川受賞作品を手に取ったのでした。衒学的な『日蝕』とは対照的な作品で、いまやインフラのひとつと目されているコンビニで働く人を描いた作品で読みやすい作品です。
 恵子は大学卒業後も就職もせず、大学1年生の頃からアルバイトしていたコンビニで、18年間働きつづけています。彼女は「普通」ということがわからず、子供の頃から問題を抱えた子どもとして、教師や家族を問題が「治らない」ことで不安にさせるのでした。しかし自分自身、どのようにすれば「治った」ことになるのかわからず、とにかく自分を目立たないように行動をするようにして成長していきます。ところが、コンビニでアルバイトをするようになったとき、コンビニのマニュアルどおりの接客や仕事を学び、それを忠実に守っていくことをとおして充実した日々が送れるようになり、自分の人生がコンビニ店員になる以前と以後ではっきりと分かれていると自覚し、コンビニ店員として合理的にてきぱき仕事をこなし、働けるようになるのでした。あるとき同世代の甲斐性なしの童貞の白羽が恵子のバイトしているコンビニにスタッフとして入ってきます。しかし、白羽は問題行動のためにすぐにコンビニを首になってしまいます。このようなダメ人間の白羽と出会って、彼をアパートに住まわせるようになり、そのことが働いているコンビニにばれて、自分も白羽も、「普通」でないことを自覚させられ、居づらくなってそこを辞職します。白羽は、彼女のひもになり、彼女にちゃんと就職させようとし、彼女もそのつもりなのですが、やはりコンビニで働くことしかできない自分を再発見するという作品です。
読み終わって、コンビニで買い物をするなら恵子のいるコンビニで買い物をしたいと思いました。私がコンビニで買い物をするときはいつも食べ物です。食べ物を扱うお店としては、コンビニがいちばん当たりはずれがなさそうですし、さっさと買い物が済まされるという利点があります。こういう要求にまちがいなく応えてくれるコンビニだと思えるからです。
 私もおなじ職種で、転勤を重ねながら30数年働いてきました。退職してそこにそのまま臨時指導員としてときどき働きに行って3年目です。もともと、4人の職場でしたが、今年から6人になり3人新しい人が入ってきました。その中の一人が、私と二人だけの仕事になったとき、「ここの人たちは、みんなそれぞれに変わった人たちなんですよー。」と言いました。言われてよく観察していれば、うなずけます。なんだか今まで自分がいちばん変わっているかなーと思っていた私が、いちばん普通になっているようです。やはり私たちの職場にもマニュアルが必要かもしれないなどとテーマとは外れたことをも考えさせられた読書でした。

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コメント
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団地にファミリーマートが出来て、とても助かっています。制服は上は黒の半袖シャツ、秋以降は長袖になると思うのですが、初めは暗い色と思いました。今ではひと目で解る気安さを感じています。
いったいどれだけのバイトが居るのでしょう。真夜中には大学生らしい青年が働いていました。興味が湧きましたので、一度だけ真夜中に買い物に行きました。副店長さん以外は、いつ店に入っても別人が働いています。長くても4時間程度で交代させ、無権利状態ではないかと思いました。店にとっては利益につながると思いますが、働く側から考えると色々問題がありそうです。
団地には此の店と別にクリーニング店が一軒あるだけです。高齢者の多い団地ですから、坂を上り下りしなくて済むことから、私も二日に一度は割り高を承知しながら買い物によります。
 ご紹介の本は読んでおりませんが、つくづく世の中が変わってしまったことを痛感する毎日です。
2016/08/12 10:41  | URL | みどり #-[ 編集]
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 コンビニできてよかったですね。
 ほんとうに世の中が変わった気がします。
 でも私の場合、特に耳の手術以後、聞こえない世界に身を置いているので、自分自身も変わってしまった気がします。状況判断ができにくいこともあるので、自分でできる範囲で暮らしたいのに、代わりが見つからず、仕事が辞めさせて貰えないどころかだんだんふえているので、しんどいです。さらに一生懸命探してもらうようお願いしたので、楽しみにしています。
 コンビニもスタッフあってのコンビニなので、スタッフの確保がいちばん大切かもしれませんね。
2016/08/12 22:59  | URL | 深山あかね #-[ 編集]
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