『花森安冶』 新しい「暮し」の創始者
2016/10/24(Mon)

 文藝別冊 『花森安冶』新しい「暮し」の創始者 河出書房新社2016年4月発行を読みました。
 かなり丁寧に読んだので、半月以上かかりました。
 今年3月までの、「暮らしの手帖」の出版社の社長大橋鎮子を題材にした、NHKの朝の連続ドラマ『とと姉ちゃん』、その「暮らしの手帖」の編集長のモデルがこの花森安治ということでの読書です。
 花森安冶自身のベストコレクションとして、エッセイ9作品、徳川無声・江戸川乱歩との対談再録、唐澤平吉×南陀楼綾繁の「花森安冶の装釘」談義、花森安冶アートファイルなどなど、盛りだくさんです。
 「すごい人なのよ!」と水野さんが花森安冶に関する本を何冊も裏山に持ってきて貸してくださいました。ついでにいま放映の「べっぴんさん」のモデルに関係した本もたくさん貸してくださいました。まず、最初に手にしたのがいちばん内容量の多そうなこの本でした。
 この本には、多くのカットが使われていますが、すべて、花森安冶が描いたカットで、その雰囲気がどのページからも伝わってきます。そして、とくに、 花森安冶自身のベストコレクション「君もおまえも聞いてくれ」というエッセイはインパクトがありました。『文藝春秋』の昭和47年3月特別号に掲載された記事だそうです。内容は、ざっとこんなことです。
 《1970年度に、地球中の国が、いわゆる国防に使ったゼニは、ざっと計算して、72兆3千億円だ(1ドル360円ナリ)。
 1971年度に、国防費として、予算をとって、目下さかんに使っているゼニは、およその推定では、67兆億円くらいだ。
 そこで、ものは相談だが、全地球国家の来年1年分の軍事費を、全部凍結してしまう。
 そのゼニで、この地球を救う研究をやってもらおう、というのだ。もちろん、全部といっても、その中から兵隊の給料だけは払う。
 給料を払って、1年間くにへ帰ってもらう。くにでいい仕事があったら、そっちへ行ってくれてもいい。とにかく1年間は、一切の訓練休み。一切の戦闘休み。・・・・ だから、1年たって、まだ戦争したければ、1年まえの、もと通りの位置に戻って、そこから、ドンパチはじめるがいいさ。
 それにしたって、地球がどうとかなろう、という瀬戸ぎわなんだよ。
 一方で、必死になって、それをくいとめようと、全地球の研究者が立ち上がろうというのに、・・・・
 このへんで、ぼくら、もう頭を切りかえないと、とんでもない手おくれになってしまいそうなのだ。もう〈国をまもる〉なんてことは、ナンセンスなのだ。
 〈地球〉をまもらねばならないのだ。・・・・》
 この一文は、文字使いといい、文体といい、主張といい、本誌でかたられる彼の特徴を、余すところなく、伝えているように思います。
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