『ハーンの面影』 ㈡
2017/02/04(Sat)
 この、第1章の「ハーンはなぜ小泉となったのか」は、ハーンがどうして帰化したのかということにこだわっての考察です。
 18章まであるなかで、第1章にあてられ、一番おおくページ数がさかれてあります。

 ハーンは、この帰化ということについての気持ちを、いろんな人への書簡に書いて送っています。
 ≪帰化の理由については、あまりにも当然すぎるほど当然なことになっていますが、いまあらためてその疑問に光を当てることによって、帰化の理由の本筋と脇筋との全貌が一つの全体として立ち現れると思う≫とあります。

まず、当時欧米人が日本に帰化することへのデメリットについてまとめて記載があるのは便利です。
 1、英国民が英国から与えられる強力な保護を失う。
 2、領事館税よりはるかに高い税金を払わなければならない。
 3、外国人としての俸給で日本政府に雇われるのは困難となる。
 4、英国人としての旅券を失えば自由に好きなところへ行けなくなる。
 5、たとえ、日本国籍を得ても、完全に、日本人に慣れきれない場合には、日本で孤独となる。(1894年10月23日、西田千太郎宛の手紙で、「私は決して日本人になれないし、日本人全体から真の同情を見出し得ない事実を認めざるを得ません」とハーンは書いている)
 これを読むと、ハーンにとってよいことはないといっていいのですが、ハーンが時々、臣民という言葉を口にしています。当時でいえば、明治天皇の臣民か英国の臣民かということになるのでしょうか。
 ここで、注目されるのが、昨年(2016年)11月25日の山陰新聞に、愛知学院大学の竹下修子教授によるハーンの帰化に関する記事です。
 ≪竹下教授によると、八雲以前にもあった英国人男性と日本人女性との入夫婚姻について、英国は「婚姻によって臣民としての義務を脱却しようとするなら到底許しがたい」としており、国籍離脱を認めていなかった。島根県が八雲の「日本人タルノ分限」取得の手続きを英国領事に照会。96年に代理領事が八雲に返答した未公開書簡が池田美術館(新潟県南魚沼市)に所蔵されており、「日本側だけの手続きで完了する」と記されていた。≫
 著者の高木大幹氏はそのことは知らずに亡くなられたのですが、ハーンのみぞ知るこの書類がどのような経路で池田美術館に所蔵されたものかはわかりませんが、これによると、ハーンは両国民としての利益と義務を背負うことになるのですが、このあたり今後の研究を待ちたいところです。
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