「おしどり」
2017/02/15(Wed)
 小泉八雲著 平川祐弘訳 「おしどり」を読みました。
 『怪談』の中に収録されている短い作品です。
 諸兄那香編訳 小泉凡監修 『小泉八雲の“怪談”で英語を学ぶ』と、田代三千稔訳『対訳ハーンⅠ〈怪談・奇談〉』も家にあるので、三人の訳で、それぞれ1回ずつ三回読みました。
 短い作品なのでこんなことをして読んだのですが、昨年暮れの『広島ラフカディオ・ハーンの会』で朗読してくださった詩人の井野口慧子さんの朗読を思い描きながら読みました。

 尊充がある日、狩りに出かけます。その日は獲物がとれず、仕方なく帰りかけると川にオシドリがいました。おなかがすいていたのでこれを射ると、雄のほうに命中し、早速もって帰って調理してたべて休みました。すると夢に美しい女性が現れ、どうして罪もないあの人を殺したのかと、泣きながら、さらに自分は生きていられないと恨み言をいい、あす朝川に来るようにと言い残して消えます。朝起きて川に出かけると、雌のオシドリが岸に近づいてきて尊充をみつめて、自分のくちばしで自分の腹を割いて死んでしまいます。尊銃は髪をそって僧侶になるという話です。

 尊充という名前については、この平川祐弘訳では、このような漢字を当てて訳してあるのですが、ハーンはローマ字書きでSonjŌ とあるので、訳すにあたって、いろんな漢字が当ててあります。諸兄那香編訳 小泉凡監修 『小泉八雲の“怪談”で英語を学ぶ』では馬充となっており、日本語版原典では馬充(うまのじょう)となっている、とわざわざ注意書きがあります。田代三千稔訳『対訳ハーンⅠ〈怪談・奇談〉』では孫充となっています。この話は『古今著聞集』のなかの一編によったものと注釈がありますので、この訳者がみた『古今著聞集』ではそのような漢字が当ててあるのかもしれません。

 ハーンは欧米の読者に向かって、「オシドリ」に注釈をつけて、昔から東アジアでは、これらの鳥は夫婦の愛情を象徴するものだとみなされている。と書いていますが欧米では見かけられない鳥だからだそうです。

 ハーンは、昔から、日本では夫婦仲がいいといわれて夫婦愛の象徴のように言い伝えられて、仲のいい夫婦を「オシドリ夫婦」ともいわれていたことを知っていたでしょうか。あるいは、この話を聞かせてくれた人から聞いたでしょうか。夫を追って死んでいった雌のオシドへリの後追い自殺を、自殺を禁じているキリスト教の人たちにどう伝わったでしょうか。
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