『華麗なる一族』 中巻・下巻
2017/04/27(Thu)
 万俵大介は、都市銀行第七位の第三銀行と小が大を食う合併をともくろんでいたのですが、それがかなわないとなると第三銀行の弱点を新聞記者にスクープして、第三銀行が合併しようとしている平和銀行との合併をつぶすことに成功します。
 一方、万俵大介の1万坪もある邸宅に妻妾同居の生活を営む、女執事の高須相子は万俵大介の次女の二子に、長男の鉄平、長女の一子、次男の銀平につづいて閨閥を広げるために二子の意思に関係なく佐橋総理夫人の甥との結婚をおしすすめていきます。
 そんなおり、鉄平の会社の製品を買い付けると約束してくれたアメリカの会社への船積みを待つばかりになっていたのに、船積み延期の知らせが届きます。いつまで待てば・・・にきっちり答えてくれないためあわててアメリカに交渉に出かけます。
 しかし、鉄平の岳父である以前元通産大臣・建設大臣だった大川一郎の危篤の知らせを受けあわてて帰国しますが岳父は腹部動脈瘤で亡くなってしまいます。佐橋総理の葬儀委員長のもとで葬儀が営まれ、鉄平は情熱的におしすすめている高炉建設を岳父が応援してくれていたこともあり、遺影にやりぬくことを誓います。
 大介と鉄平は正月休みに雉撃ちに出かけ、あやまって鉄平の撃った弾が、大介の帽子を掠めます。そのことが父親と鉄平の関係をさらに悪化させます。
 結局アメリカの会社は大手に吸収合併され契約した担当者は会社を辞めそれが原因で鉄平は資金繰りに奔走しますが父親の阪神銀行は応じてくれず、日銀から天下り、鉄鋼業界に理解のある三雲頭取のいる大同銀行から融資を受けます。
 さらに、鉄平の会社では爆発事故が起こり、死者4名、重傷者5名、軽傷者13名という惨事で、株価が72円から一挙に60円に下落してしまいます。持ち株の依頼、さらなる融資を父親が聞き入れてくれないため、大同銀行の三雲頭取から受けます。
 大同銀行は、副頭取がさらに日銀から天下り、行内は実績のある生え抜きの綿貫専務たちと日銀天下り派との激しい確執がひろがり、その情報を入手した鉄平の父親は、綿貫専務が彼の岳父への洗剤会社への融資を三雲頭取が貸し渋っているので融資をし、専務との関係を深めることによって、大同銀行の乗っ取りを計画するようになります。
 この、小説はあまりにも政界・金融界・基幹産業などに、真摯に取り組む人と、政権・利権を最優先にそのためならどんなあくどいことも辞さない人を対峙してえがき、まじめで正直な人が苦しみ滅びていくというお話で、読んでいて気分が悪くなり、とても読み進むのにエネルギーを要します。。
 それで下巻もなかばにもなると、あとがきや解説がありますのでそれを読むと、結論が書かれてあるのに気づきます。阪神特殊鋼は会社更生法の適用をうける状況にまでなり、下請け会社などのこともあり、帝国製鉄の傘下に下ります。鉄平は自殺し、三雲頭取は責任を取って辞職します。
 あとがきに、大蔵省銀行局・日銀・都市銀行などの取材に相当手間取ったことが書かれていましたが、銀行の仕事が身近に感じられてとても社会勉強になりました。
 
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